【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

76ねむ ページ27

それから数週間。カイがヒーラーにジョブ変更をしたという情報はすぐさまニュースという形で校内中に広まった。
同じくヒーラーをやっているユーリの下で毎日扱かれているみたいで、私の警護をするときにはへとへとになっているので正直申し訳ない。だけどあの一件でさらに懐かれてしまったようなので、一日も欠かしたことがないのも正直カイらしいといえばカイらしい。リクともあれからちゃんと仲良しに戻ったようで、おかえりステレオサウンド。

そして。

「Aさん、生徒名と参加種目のデータ化は終わりましたか？」
「はい、シェアフォルダに載せてあります」
「A、この後職員室行くんだよね？ 千秋先生にこれ渡しといてくんない？」
「了解。会長、スピーチのチェック終わりました、目を通しておいてください。ほかに職員室や風紀室に持ってく資料はないですか？ 行ってきます」

がたりと資料の束をもって立ち上がると、それと同時に生徒会室の扉がノックもなく開かれる。
全員の意識がパソコンからそちらに向けられ、そして何人かのため息がこぼれた。

「ホノホノー！」
「疲れたー！」
「カイ、リク」

素早く二人は私の隣へとやってきてはいつも通り私の左腕と右腕にそれぞれ腕を絡める。
それを見て、ヴァーノンさんがいつもの猫かぶりも忘れて呆れ半分恨めしさ半分といった表情でこちらを見上げた。

「……風紀、見ての通りこちらは忙しいんですが……」
「そうだよ、双子！ この書類の山が見えないの！？」

運動会はもう明日。最後の追い込みということで生徒会役員たちはあくせくと書類に埋もれては仕事をしていた。私もしっかり仕事をしているので、立ち上がるたびにあちこちから骨がごきごき音を鳴らす。座りっぱなしだし。

「知ってるよ」
「こっちも忙しいもん」
「まぁ僕たちは明日は」
「ホノホノに付きっ切りだから暇だけどねー！」

ぎゅう、とまとわりつく双子は正直言ってかわいい。
可愛いが、最近萌えが足りない。弟×兄はぁはぁ。

「二人とも、俺今から職員室行くけどついてくる？」
「「行くー！」」

ということで、二人を連れて生徒会室を出た。この生徒会室には安静が必要だ。

「ついに明日だねー」
「ホノホノ障害物競走出るんでしょ？」
「うん、そうだけど」

そういえば結局障害物競争が果たして何なのか聞けてない。
双子に聞けばわかるだろうか。

「写真たくさん撮るね」
「ん？ なんで？」

やっぱり怖くなってきた。今更変えられないし。

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