67ねむ ページ18
アルくんの体がぐい、と引っ張られついでに私の首が絞まる。
ぐ、と喉仏を圧迫され「ぐっ」なんて低い声が出てしまった。呼吸を遮られ、苦しい。
「は? ちょ、待って、風紀の犬の双子が何の用?」
「馴れ馴れしいんだけど、生徒会長の犬のくせに!」
「Aが苦しんでるでしょ、早く離しなよ!」
「じまる゛じま゛るおえっ、全員離して……!」
目の前が白黒点滅し始め、そろそろ意識を失うかと思ったとたん、急に圧迫が消えて一気に酸素がなだれ込む。急に入ってきて酸素はむしろ私の呼吸器官を痛めたのか、げほごほとむせ返りながら私は後ろを振り向いた。
そこにいるのは、少しむ、とした顔のヴァーノンさん。彼の腕がかたやアルくん、かたや双子の腕をそれぞれ掴んでいる。彼が私を開放してくれたらしい。
「アル、それにヴァルガス兄弟、悪ふざけが度を過ぎてますよ」
「む……ごめん、A」
「「ごめんねAー!」」
ぎゅ、と再びリクとカイが私の両腕に絡みつく。だけど今度はきつくなく、本気で嫌がればするりとほどける程度の力量だ。……弟が二人できたみたいで、少し可愛い。
にしても、ヴァーノンさんはみんなのお母さんなのだな。しっかりものだとは思っていたけど、やっぱり敬語キャラは得てしてみんなより大人なのだろうか。
「……」
ずっと無言だったリデルがまたこっちに歩み寄ってくる。首を傾げつつ見上げれば、困った顔で私に向かって手を伸ばし始めた。
くしゃりと髪を乱され、すぐに撫でられてるのが分かった。
あぁ、羨ましかったのか。構ってほしそうな大型犬にしか見えなくなってふは、と笑いだしてしまう。
フラグが立ち始めてる感じなのは許せないけど、こんな雰囲気は嫌いじゃない。まったくもって、嫌いじゃない。
「ほらほら、Aさんを構い倒したいのはわかりましたけど移動しますよ。そろそろ放送委員の人たちが片付けに入りますからね」
パンパン、と両手を叩いてヴァーノンさんはみんなの視線を集める。
それによって私はようやく解放され、そして教室に戻ることが許された。
うーん、今日は直帰ができるのか。なんて素敵な世界だ。少しうきうきが隠せていない足取りで私は迷わず体育館を出て行った。
「ホノホノー!」
「待ってよー!」
後ろからてってと駆け寄ってくる双子に振り返り立ち止まる。そういえば私の護衛だったんだ。おいていくところだった。
ぷんすこーと怒る二人をなだめながら、私は最早懐かしい気もする教室へ向かった。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - アスヤさん» 最初から見ていただいて感激です……エド君ストライクと言っていただけで嬉しいです!これからもアスヤさんをきゅんきゅんさせられるような小説を書けるよう頑張らせていただきますね!コメント本当にありがとうございました! (2019年8月4日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
アスヤ(プロフ) - 作品最初から見ましたがエドくん好きです!どストライクです!更新無理せず頑張ってください! (2019年6月4日 22時) (レス) id: 85154871a9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 歩美さん» 大好きといっていただけで光栄の極みです!地毛がそっくりですと!さぞ美しい髪をされているのでしょうね。頑張らせていただきます、ありがとうございます! (2019年5月14日 13時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - 初めまして!シリーズを最初から読ませていただいています!!とても面白いのに、キュン要素をしっかり取り入れてもう大好きです。主人公の地毛が私にそっくりで感動しております。更新頑張ってください! (2019年5月13日 17時) (レス) id: 45ec4d7ed1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» あー泣かれないで!つティッシュ 書籍化……できたらいいですね!(無理)ありがとうございますお気持ちとてもうれしいです!エド!これからも絡ませていくしかない!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2019年2月5日 22時) (レス) id: 30865517cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月8日 12時