【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

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絶対に素顔のことは口外しないことを約束させられて、私たちは分かれた。
どうやらこれについて知っているのは副委員長である辰巳先輩と生徒会長だけなのだとか。これ完全にケンカップルじゃーん。会長に弱み握られてるじゃーん。テオ先輩受けじゃん。

「あっひゃあはは最高」

誰もいないことを好機と人には聞かせられない笑い声をあげてしまう私。
いやぁやっぱりこの学園入ってよかった。今日までの苦労がもうこの萌えだけで全部実った気分ですわ。四階の空き教室が並ぶ廊下をてとてとと歩んでは抑えきれないニヤニヤを惜しげも無くだらしなく晒す。だって誰もいない。思ったより校舎内を探している人はいないのか。ありそうなんだけどな。

ふと、ひとつの教室の扉を引いて首だけ中へと突っ込む。

「あ」

テーブルをたくさん並べて簡易ベッドにしたてあげてその上に寝転がる不良くん。
まぁ私の同室のエドなんですけど。

「エドじゃん、さっきぶり」
「げ……こんなとこにいねぇでイベント参加しろよ」
「あっはは、完全にフケりのサボりのエドに言われたくはねーわ」

ケラケラと笑う私を見て、エドはけ、と吐き捨てたあと興味なさげに目を閉じた。
私はテキトーに椅子を引いて腰を下ろす。完全に居座りますよ、とメッセージを送ったのだが気にした様子もないので許可を得たのだろう。

「あぁ、そういえば」

そんな声とともに、エドが私に向かって何か投げて寄越す。
うまく受け止められずそれは私の額をゴン、だなんて強打した。えっ、硬っ！いった！
涙目になって額を抑えていれば、頭上から悪びれもない声で「悪い」だなんて謝罪が聞こえる。くそ、テオ先輩×エドで妄想してやろ。

「〜っ……ったぁ……なにこれ、ってあれ、景品じゃん」

膝の上に転がるそれはたしかに宝探しの宝である木箱だ。
え、木箱を投げて寄越したの？めちゃくちゃ痛かったんですけど、涙目なんですけど。たんこぶできたらどうしてくれる。

「机くっつけてたらなんか机ン中入ってた」
「こんな沢山の机の中の一つに隠すとか、アルくんまじつえぇ。いらないの？ 豪華商品だけど」
「興味ねぇ」

クールだなぁ。
再び寝そべり今度こそ深い眠りにつこうとしているエドを放って、私は木箱の中を開けてみる。食堂無料券だって、5回分。今夜あたりにでもまたエドと食堂を食べに行くか。私のおごりだぞ、この無料券を使って。
っていうか私がいるのによく寝れるなぁ。それだけ信用されているということか。

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