51ねむ ページ2
頼んだ料理も一つ二つと届き始めて、ようやく食事にありつける。
だが、エドは相変わらず不機嫌そうだった。
「嫌そうな顔をしないでよ、大神くーん。別に二人のイチャイチャタイムを邪魔するつもりはないからさっ!」
「はあ!? ふざけたこと言ってんじゃねーぞ!」
がん、と思わずテーブルを殴ってしまうエド。テーブルの上に乗っていた皿も揺れて、がちゃりと皿の上のフォークが金属音を立てた。
どうどう、と諭したいが、まぁここで私が諭したら逆効果なんだろう。知ってるよ、私残念ながら王道主人公みたいに天然じゃないからね。
こういう時に一番有効なのが、話を変えること。
「ところでずっとすごく気になってたんだけど、ユーリってなんでこの学園にいるんだ?」
「え、どゆこと?」
ちなみに呼び捨てとタメになったのは本人たっての希望である。私は先輩だから敬語がいいんだけどなぁ。男言葉とかでボロ出しにくいし、敬語なら。
「……女子だろ?」
私が首をかしげると、エドがけっ、と鼻で笑った。
え、何。
エドとユーリを交互に見れば、ユーリはにんまりと満足そうな顔で私を見てきた。
「僕は男子だよ」
「えっ!? こんっなに可愛いのに!?」
ふわりと腰まで伸びたピンク色の髪の毛は柔らかくまるでシルクのよう。ツインテールにしてもおさげにしても、なんでも似合うのだろうその顔の形。溢れそうなほど大きな瞳と、うるうると艶めくその唇。そしてふわりと香るラベンダー。
「男なの!?」
「うん、男だよ。見る?」
「下ネタやめよう!?」
堂々とズボンを指差すユーリを全力で止める。
ケラケラと笑ってユーリは口に運んでいたフォークを一旦皿の上に休める。ちなみに彼女……あ、彼だった––はホワイトソースのパスタを食べている。
ふ、と視界の中のユーリがブレたと思えば、目の前が暗くなる。
ラベンダーの香りが強くなって、柔らかそうな髪の毛が私のほおをくすぐる。
「そうやって油断させてから、ペロリと食べちゃうんだよ」
く、と私の顎に手を添えて私の顔を無理やり上げる。私の瞳とユーリの瞳がかち合う。
女の子にしか見えないと思っていたその瞳はすぅと細められて、妖しい光が灯る。あぁ、これは捕食者の目。
目が離せない。まるで縫いとめられたように、彼の瞳をずっと見つめている。
食われる、と、
本能的に思ってしまった。
「なーんてねっ」
ぱ、と急に解放されて私の視界は再び明るさを取り戻す。
心臓が、バクバクうるさくてとまらない。
140人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - アスヤさん» 最初から見ていただいて感激です……エド君ストライクと言っていただけで嬉しいです!これからもアスヤさんをきゅんきゅんさせられるような小説を書けるよう頑張らせていただきますね!コメント本当にありがとうございました! (2019年8月4日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
アスヤ(プロフ) - 作品最初から見ましたがエドくん好きです!どストライクです!更新無理せず頑張ってください! (2019年6月4日 22時) (レス) id: 85154871a9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 歩美さん» 大好きといっていただけで光栄の極みです!地毛がそっくりですと!さぞ美しい髪をされているのでしょうね。頑張らせていただきます、ありがとうございます! (2019年5月14日 13時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - 初めまして!シリーズを最初から読ませていただいています!!とても面白いのに、キュン要素をしっかり取り入れてもう大好きです。主人公の地毛が私にそっくりで感動しております。更新頑張ってください! (2019年5月13日 17時) (レス) id: 45ec4d7ed1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» あー泣かれないで!つティッシュ 書籍化……できたらいいですね!(無理)ありがとうございますお気持ちとてもうれしいです!エド!これからも絡ませていくしかない!亀更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2019年2月5日 22時) (レス) id: 30865517cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月8日 12時