●7.JK● ページ7
506号室の角部屋が俺の家。
これからここに住むことになんのか。
大家さんに軽く挨拶して、
自分のポストを確認。
隣に視線をずらすと、
505号室のポスト。
隣の家に住む人のポストにかかれた文字。
【チラシお断り】
丸い字でそうかかれた横には
猫みたいなウサギみたいなキャラクター。
絵、下手かよ。
隣に住む人、どんな人なんだろう。
絵が下手っていうのは理解。
部屋に向かうと
505号室の表札には【パク】とだけ
書かれてた。
夜勤のバイトも休んで
絶賛荷ほどき中。
カラカラカラって
窓を開ける乾いた音が
隣の家から聞こえる。
なんだっけ、
パクさん?
『ジミナジミナジミナジミナ』
こわいこわいこわいんだけど。
隣の家の窓から声が聞こえる
でもその声はどこかで
聞いたことがあるような
声だった。
気付いたら荷ほどきしてた
自分の手は完全に停止。
全神経が
その声に集中してて。
誰だっけ、この声
『もう名前なんて呼べないから
一生分今言ってやろ。
ジミナジミナジミナジミナ…』
呪文のようにその人は
「ジミナ」って人の名前を言う。
呪いでもかけてるのだろうか?
『もう連絡先消されてるし、
なんでそうやって
どんどん先に行っちゃうかな
…先に行けちゃうのかな
私のこと忘れるの早すぎない?』
思いだした、この声。
頭の中で蘇る記憶。
ありがとーございますって
商品を受け取る時の声、
シュークリームの女の人の声だ。
『あぁ………ジミナ、苦しいよ』
その人は本当に苦しそうに言った
『苦しい、…………すき、』
消えそうな声で
その人はそう言う。
その「好き」は100%、
ジミンさんって人に向けられたものだけど、
なんでだろ。
なんで俺の心が
たまらなく
ギュッて苦しくなるんだろう
.
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作者名:やきにくさん | 作成日時:2020年5月23日 23時