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にっと笑うと、赤井さんも僅かに口角を緩めて、手にしていた銃を懐にしまった。どうやら通じたみたいだ。よくやったあたし! がんばったねあたし!
「そうだな、これ以上は時間の無駄だ。ジョディ、戻ってこい」
赤井さんが盗聴器に向かって話しかける。その間にあたしはスマホを開いて予約投稿をキャンセルし、ついでにツイートのほうも削除した。間違って押したら怖いからね。
そこまでやって、…………脱力する。
「っあーーー怖かったーーーー!! 仮にも一般人に銃突きつけるなんてどうなってんだよFBI!」
「ちょっとシュウ、やりすぎよ! おかげでFBIみんなの評価が下がるじゃない!」
「悪かったよ」
「あったかいココア」
「仰せのままに」
風のような速さで戻ってきたジョディさんと一緒に赤井さんを責める。どさくさにまぎれてあったかいココアをリクエストすると、赤井さんはあたしの手を取り甲にキスをした。
〜〜〜っ、これだから英国紳士は!!!
真っ赤になって固まると、赤井さんにくつくつ笑われる。「こんな可愛らしいお嬢さんにやり込められるとはな」と言いながらココアを注文してくれた。
今は何を言われても噛みつく自信しかない。
「それにしても、シュウが負けるとはねえ。銃まで持ち出して本気だったのに。やるわねA」
「いやあれはたぶん本気じゃなかった。目の奥は笑ってたもん……もうやだ、FBI、こわい」
「誤解よ、シュウがあんなんなだけでFBIにはいい人たちもいるわ! でもちょっとスカッとした」
シュウはいつもすましてるから、と言って軽く赤井さんを睨むジョディさん。とか言いつつ想ってはいるんだよね、はいはいごちそうさまです。
赤井さんは知らん顔でコーヒーを啜る。もうすっかり冷めてるだろうに。
目が合って、慌てて反らす。クスクス赤井さんの笑い声が聞こえる。子供っぽくて悪かったな、でもあたしはまだ怒ってる。銃突きつけられたんだから。
「日本に行きたいんだったな、こちらですぐに手配しよう。ただし、護衛という名目で監視はつくが、構わないか?」
「……ジョディさんがいいです」
「うれしい。上司に話は通しておくわ」
「ご希望があれば俺もつくが?」
「いらないです」
「嫌われてしまったな」
赤井さんが楽しそうに笑う。嫌われたとわかって笑うとかドMなのか?
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えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時