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チャキ、と冷たい音がしたかと思うと、額に銃を突きつけられている。ダメだ、こわい。死ぬかもしれない。助けて零くん______震えが止まらない。
「そんなに震えて……俺にここで殺されることは想定していなかったのか?」
「そしたら赤井さんに『何の罪もない一般人を撃ち殺したFBI捜査官』ってレッテルが貼られるだけですから」
「声が震えているぞ。確かに一般人だな、なんの力も持たない」
しかも挑発されている。まじかよ赤井さん、ちょっと落ち着けって……。もっと余裕を持ってくれよ。大人の余裕はどこにいった。
がたがた震える両手を握る。緊張で冷たい。あーもう嫌怖い……これが終わったら赤井さんにあったかいココアを奢ってもらおうそうしよう。
「なんの力も持たない、ね。何言ってるんですか赤井さん、今は一般人でも簡単に情報を手に入れられるじゃないですかぁ」
「……まさか」
「そのまさか」
赤井さんにスマホの画面を見せる。いわゆるツイート画面、しかしただのツイート画面ではない。そこには書いてあるはずだ、赤井秀一の情報が。組織が喉から手が出るほどほしがっている情報が。
さっき打ち込んでいたのはこれだ。赤井秀一の現在地と格好まで打ち込んでおいた。組織が動くまでさほど時間はかからないだろう。その時間で赤井さんがどこまで逃げられるか、なんて、きっと大した距離を動けない。
口角を歪めてみせる。あたしはまだやる気だよアピールだ。身体は相変わらず震えているけれど。
「あなたがあたしを撃っても、あたしは意地でも送信ボタンを押す」
「一発で脳天を撃ち抜けば、ぴくりとも動けずに死ぬぞ」
「じゃあこうしよう」
今度は予約投稿ツールの画面に行き、それを見せる。実はもうセットされていた。制限時間はあと……三分。
赤井さんの顔に苛立ちが見える。いつもクールな赤井さんも、苛立つことがあるんだなあ……元凶はあたしだが、ちょっとそう思ってしまった。
それからあたしはスマホを閉じた。
「はい、これでどうでしょう。赤井さんの情報が世に知れ渡るまであと三分、さらにあたしのスマホは指紋認証を設定していないのでパスワードを開ける必要がある。でも、何桁かさえもわからない。それでもまだこの不毛なやり取りを続けますか?」
震える声が情けなくて、せめてと思い精一杯口角を上げた。
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えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時