＊ ページ16
コナンくんは、呼び出した本人である赤井さんに事情を聞いた。あたしのこともサラッと軽く、組織を知ってはいるが関わったことすらなく、絶対に敵にはならないということくらいを説明された。あとは赤井さんが赤井さんの声でその話をしたので、コナンくんはあたしが赤井さんを知っていることもわかったのだろう。
「そっかぁ！」とかわいらしく頷いたコナンくんは、次にあたしの服を引っ張り、訊きたいことがあるんだけど、と切り出す。
「なんでやつらを知っているのか……は、訊いてもいい？」
「それくらいなら全然構わないよ〜〜、答えはね、『知ってるから』知ってる」
「……は？」
「ボウヤ、彼女ははぐらかすのが上手いんだ。しかも嘘は吐いていないから厄介でな。半分くらいは冗談だと思って聞いたほうがいい」
赤井さんが横から助言する。あたしははぐらかしているつもりないし、本当のことを全部言ってるわけじゃないけど嘘は吐いてないし、冗談は何も言ってない。それを信じるかどうかは彼ら次第でその判断を彼らに任せているだけだ。
何かを考えていたコナンくんが顔を上げ、また愛らしい笑顔をつくる。
「答えてくれてありがとう！ ポアロに行きたいんだっけ、早く行こ〜〜」
「あ、うん！ あか……沖矢さん、ジョディさん、行ってきます！」
「あまり遅くならないでくださいね」
「いってらっしゃいA、クールキッド！」
唐突に来た沖矢さんに吹き出しそうになるも、手の甲を抓って堪える。しかし沖矢さんにはバレたようで、緑の目を覗かせながら睨まれた。……赤井さんも沖矢さんも、威圧感は共通してるよね。
コナンくんに手を引かれて工藤邸から出る。玄関先に立てかけてあったスケボーを腕に抱えてコナンくんが走り出したので、必然的にあたしも走ることになる。スニーカーを履いてよかった。もしピンヒールなんか履いた暁には、走って二秒で足を挫くだろう。
ナメるなよ、あたしは社会人始めて十年なんだぜ。そこらの二十五とは違うんだ。何が違うって、ほとんどの人より三年運動していなかったことだ！ 運動部に所属していた人はもちろん、そうでない人も体育があっただろうから少なからず運動しているだろうが、あたしは十年間全く動かなかった。
つまり何が言いたいかと言うと、体力がないということだ。
走り始めて四十秒で力尽きたぜ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 752人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……！ 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました！ (2020年6月14日 18時) (
レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした！ (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです！とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです！(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……！ 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました！ (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました！次も付いていきます！ (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えりんぎ苺 | 作成日時：2020年5月25日 21時
