白虎の化身

６船長の審判 ページ6

その日の晩餐では、船員たちは虎の話で持ち切りだった。



「キャプテン、あの虎はどうするんですか？」

「銀色の毛並みにあの眼の色だ、高く値もはるだろうなぁ」

「ばか、そりゃ山賊たちと同じだろ？」

「食料用にするんすか??」

各自思い思いのの言葉を発していく。



そんな中、 ゆっくりとローが立ち上がり、自然とクルー達は静まり返る。

「あの虎は、次の島までしばらく様子を見る。船旅だ、嫌になれば己で死ぬだろう。ただし、俺が生かした虎だ、変な真似はするな。以上」


「じゃあ、しばらくお試し期間って事か」



「俺たちが手出す前にコッチがやられそうだよな」
「いえてるー！」
「確かにあの虎、油断無かったもんなぁ」

「しかし、よくあの出血に深手で。あそこまで動けるもんだぜ」

思わぬキャプテンの提案であったが、各々に船員たちも受け入れている様子である。





これからハートの海賊団、白銀虎の奇妙な生活が始まるのであった。









「…でもなんであの時、言葉が分からなかったんだろ??」

ふと呟くベポの一言が耳に入る。
「どした？ベポ」

「あっ…ペンギン。ううん、別に。良かったね！虎さん」

ペンギンは慌てて繕うベポが気になったが、相棒の突然の飛び入りに尋ねる機会を逃してしまう。

「あのさぁー！！あの虎！野生だけど懐くことあんのかなぁ？？」

「は？…なに、またバカな事言ってんだよ」

「変な事しちゃあ、またキャプテンにバラされるよ？」


「おい、またシャチの阿保がおっぱじめるらしいぞー！！」
周りのクルー達も聞きつけ騒ぎだす。

ゲラゲラ…はっはっはーっ……


夜更けまで船内は虎の話題で賑わっていた。








「うるせぇ…お前ら」と

お怒りの船長が鬼哭片手にやって来るのは少し後の話(笑)









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