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何故わたしにそんな事を言ったのか。

理解出来なかった。

というか、聞きたいなんて言ってないし。

聞きたくもなかったし。


『……分かりますよ』

「……」

『そんなの、言われなくたって何となくそうかなって思ってたし』

「……ふぅん」

『だから何なんですか』


だって別に、それでわたしとひかるさんの関係が変わる訳じゃない。

愛してる人の部屋をわたしに提供までしてるって事は、その人もう近くに居ないんでしょ?

だったらいいじゃん。

別にいいじゃん。

関係ないじゃん。


雅さんから視線を外す。

雅さんがどういう表情をしてるかなんて、分からない。


「あたしと照、幼なじみなんだよね」

『……』

「聞きたくない?照の昔話」

『聞きたくないです。』

「何で?」

『貴方の口から聞いたってしょうがないし』

「へぇ……意外。顔に似合わず常識的なんだね」


綺麗な顔して平気で毒を吐く。

わたしこの人苦手だ。


「まぁ、照がアンタ気に入ったの何となく分かったわ」

『……』

「そろそろ怒られそうだし、帰るね」

『……さようなら』

「また来るから。聞きたくなったら言ってね」


立ち上がり、静かに部屋の扉を閉めた雅さん。

その光景を、ただただ見つめていた。



ひかるさんの昔話?

聞きたいに決まってる。

雅さん、一体何しにここへ来たんだろう。

わたしに何を言いたかったんだろう。



ボスン、とベッドに寝転がる。


誰かの、ベッド。


服、鞄、アクセサリー。


ひかるさんが、愛した人。


それは紛れもなく、わたしの知らない、ひかるさんの過去の断片だった。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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