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ーーーふわふわした意識の中で、ゆっくりと閉じられていた瞼を上げる。


「ーーー……」


声が、する。


これが夢なのか現実なのか分からない程、思考は曖昧で。

何回か浅く呼吸を繰り返す。

だんだんとクリアになる視界と、頭が冴える感じにこれは現実なんだと認識出来た。


『…ひかる、さん…?』


ゆっくりと頭を上げて、辺りを確認する。

ソファーで寝ていたはずの本人はどこにも居なかった。


ひかるさんがしてくれたのか、わたしの肩に毛布がかかっててその毛布を持ったまま声のする方へ向かう。

声が聞こえたのはひかるさんの寝室だった。


「ーー……っ、よ」


扉の隔たりがあるせいでよく聞こえないけど、声を荒げている事は分かった。

最近はあまり聞かなくなった怒鳴り声に驚き、思わず意識をそこに集中させてしまう。


……すぐに、後悔したけれど。



「なんで今更かけてくんの……電話、」



情けない、頼りなさげな、ひかるさんの声が。



「今まで、どこに居たの…」



わたしの心臓を、これでもかというくらいに突き刺す。



「俺が、どんな気持ちで…!」



嫌な予感がした。



「桜乃……」



逃げた先に、何が待ってるかなんて、わたしは痛い程よく分かってる。


分かってて、見ない振りをして来たから。


こうなったのもきっと、仕方無い事だと、思う。



ねぇ、ひかるさん。


昨日、どんな気持ちでわたしを抱き締めた?

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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