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「A!」


大学からの帰り道、振り向けば目立つ赤いダッフルコートを来た女の人が駆け寄って来た。

それは、間違いなく。


『また待ち伏せですか、雅さん。』


雅さんは、ちょくちょくわたしの大学やバイト先に顔を出すようになった。

初めがあんな出会いだったからこの人に苦手意識を持っていたけれど、それも会う回数が増える度なくなっていった。

言葉は辛辣だけど、それにも慣れた。

雅さんはかけていたサングラスを外してグロスでテカテカ光る唇を緩ませた。


「あんたまた一人で直帰?友達いないでしょ。」

『はは。雅さんだってそうでしょ。』

「…ほんっと生意気。」


雅さんも、わたしがさくのさんの話をひかるさんに話した事を知っている。

全部を話した後、雅さんも全て話してくれた。

雅さんと、さくのさんの関係を。


雅さんは深澤さんとひかるさんの幼なじみで、ずっと独り孤独だったひかるさんを心配していたらしい。

だけどさくのさんがひかるさんの傷を癒して。

雅さんは嬉しかったと言っていた。



“あたしと桜乃も仲良くなった。けど、何ていうか…ひかるが桜乃に対して異常に執着すんのは分かるけど、桜乃もそうだったから”



ひかるさんに、異常な執着をみせていたさくのさんに。

押し潰されそうになりながら受け入れていたひかるさんに。

雅さんは限界を感じていたらしい。



“桜乃は…いい子なんだけど。照に対しては、怖かったかな”



それを聞いて、訳の分からない怒りがわたしの身体の中を駆け巡った。


ずるい。


自分は男作って、別れたらひかるさんのとこに戻って。

ひかるさんは貴方を捨てられないからって、さくのさんは知ってんだ。

なんて打算的な奴。


ずるい。



…けど、それを知っていて、黙ってひかるさんの側に居るわたしも、ずるい。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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