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過去は絶対に消えないと、誰かが言っていたのを思い出した。
『お姉、さん…?』
自分でも意識しないうちに零れた声。
それを拾い上げるかのように強く頷いた雅さんを見て、心が嫌な音を立てた。
『どういう……』
「そのまんま。照はずっと、自分のお姉さんが好きだったの。」
『……、』
「引いた?あたしは引いた。不毛過ぎるじゃない。」
言葉の出ないわたしを見て、はぁ、と息を吐いた雅さんは視線を外す。
そして、続けた。
「照にとっての世界って、あたしか辰哉か、家族か…そんだけだったから。しょうがないっていえば、しょうがなかったのかもしれない。」
『……』
「アイツ、あんま人と関わるの好きじゃなくて。両親がゴタゴタしてたから人間の嫌な部分っていうか……汚い部分知ってて。だからか、友達だってあたしと辰哉以外作ろうとしなかった。」
信じられない、部分と。
妙に納得してしまう部分。
わたしを受け入れてくれたひかるさんと、わたしを拒絶したひかるさん。
どっちが本物なのか、もしかしたらどっちも偽りなのかもしれない。
わたしにはいつだって、本当の自分を見せてくれなかったんだから。
雅さんはそのまま言葉を紡ごうと、口を開いた。
だけどそれは誰かの手によって紡がれる事はなかった。
走ってここまで来たのか、息を切らせた深澤さんが、後ろから雅さんの口を手のひらで覆っているから。
「っ、お前……!」
「何……っ離してよ!」
「何勝手にペラペラ喋ってんだよ、他人の過去だろ。」
「他人じゃない!」
声を荒げた雅さんにびっくりして目を見開いた。
深澤さんに視線をやると、眉を下げて呆れたような顔をしている。
「雅、お前はこのまま帰れ。」
「……」
「Aちゃんは俺が送ってく。」
『雅さんは、?』
「大丈夫。男呼ぶし。」
雅さんは明らかに拗ねてしまい、唇を尖らせながら電話をかけていた。
深澤さんはわたしの肩に手を回して来て、それに合わせてわたしも足を踏み出した。
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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時