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「照の事で遠慮してんなら、俺は間違ってると思うけど。」

『…わたし別に、遠慮とかしてないし』

「してるでしょ、だから体調崩した。」

『それはわたしが…』

「それだけじゃない。ほんとは聞きたい事あるんじゃないの?」

『……、』

「アイツの、好きな人とか。」


聞きたくない。

聞きたい。


知りたくない。

知りたい。


そんな絡み合った感情を、きっと深澤さんは気付いてる。

もしかしたらわたしの気持ちだって気付いてるかもしれない。

それはそれで別に、いい。

ただどうしてこんなにもムキになるんだろう。

いつもの深澤さんじゃない。

ふざけてわたしを元気付けてくれる、深澤さんじゃない。


『わたし前にも、言いましたよね』

「うん。」

『聞くなら、本人の口から聞きたいです。』

「……でもそれは本心なの?」


探るような言葉は確実に、わたしの胸を抉る。

やめて、言わないで。


「そうやって、見てみぬ振りしてる?」


その言葉に、何も言えなくなった。

事実だから。

それが事実だもん。

だから何なんだ。


「Aちゃん、俺は…」


「辰哉!」


遮られた言葉に、わたしも深澤さんも声がした方へと視線を向けた。

視線の先の人物を見て、わたしはまた言葉を失う。


「え…雅…?」


その人は、こないだひかるさんのマンションに来た雅さん。


「アンタこんなちっさい店で働いてんだ。」

「ちっさい言うな!」

「客少ないね。」

「たまたまだよ…」


親しげな言葉を交わす二人を交互に見る。

真っ黒なファーの付いたコートに身を包んだ雅さんはかけていたサングラスを外した。

その瞬間、雅さんと目が合う。

別にわたしがいけない事してる訳じゃないのに、わたしは雅さんから視線を外してしまう。


「……あれ、アンタ、」


完全に気付かれてしまったわたしは諦めて雅さんを見た。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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