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『翔太……』

「ん?」

『翔太は、どうしてるの?』


もう別れたけれど。

関係なくなったと言ってしまえばそれまでだけど。

わたしの人生の中で、翔太は特別。


変わらない、特別。


窺うように問い掛ければ、翔太は優しく笑った。


「ちゃんと真面目に仕事も行ってる。親戚の人達とも上手く行ってるよ。」

『…そっか。』

「でも……」

『ん?』

「まだ恋愛するのは怖い…かな。」


“まだ恋愛するのは怖い”

わたしとしてた恋愛が、きっと、あまりにも歪んでたから。

それはわたしのせいでもあるし、翔太のせいでもある。

胸がツキリと、痛み出した。


翔太、もう楽になったっていいんだよ。

わたしの事なんか忘れて。

自分の過去を、リセットしていいの。


だってわたしは、ひかるさんに会ってそう思えるようになった。

わたしにとってのひかるさんが、翔太にとっての他の女の人であるといい。


『ごめんね、』

「謝ることない。……ちゃんと、好きだって思える相手は、いるから。」

『、そうなの?』

「片思いだし恋愛に発展させるには、まだ難しいけどさ。…Aは?」

『え?』

「好きな人出来た?」


そう言われて、真っ先に浮かんだのはあの人。

否定、する?

それさえも、迷ってしまった。


愛情って、何?

両親からそれらしいものを与えて貰った覚えがないから。

優しくされればそれが愛情なのだと勘違いをしていた。


翔太と出会って、愛して、愛されるという事を知った。

胸の苦しみだとか、かけがえのないものだとか。

わたしの全てで、守りたいと、思った。


…ひかるさんの事を思うと、胸がぐちゃぐちゃになるような苦しさを感じた。

翔太を好きになった時みたいな温かい気持ちだったり、くすぐったさだったり。

確かに感じるけれど、何でだろう。

真っ先に、泣きたくなるの。

泣いて、泣いて、泣いて、すがりつきたくなる。


それって、どんな感情?

愛?恋?

どれも合っていて、違ってる気がする。



好きになるな。



わたしの本能が、そう叫ぶ。

好きになればわたしきっと傷付く。

だってあの人は、わたしのものにならない。

わたしを、愛してくれない。

分かってるから。

ひかるさんに他に大切な人が居るの、分かってるから。


傷付かないように、目を逸らしてた。

もう、手遅れなのに。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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