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「昨日の話。」

『昨日…の?』

「側に、居て欲しいっていうやつな」

『…あ、』


縋るように言ったのはわたしなのに、思い出すと恥ずかしくて、思わずひかるさんから視線を逸らす。


「最初に言ったろ」

『え?』

「いくらでも側に居てやるって。」

『……ひかるさん、』

「お前が望むまで、お前が過去から抜け出せるまで、お前が強くなるまで」


なるまで、とひかるさんは言うけれど。

それじゃ足りないと思ってしまった自分に戸惑った。


嬉しい。


嬉しいけれど、わたしが強くなって、過去と向き合えたら。

わたしは、もう貴方の側に居られないの?


どうしてこんな気持ちになるんだろう。

どうしてこんなに寂しい気持ちになるんだろう。


ダメ。

こんな気持ちになっちゃ、ダメな気がする。

余計な気持ちを追い払うように、首をぶんぶん横に振った。


ひかるさん。

切なすぎて、胸が苦しいよ。


湧き上がって来た切なさで、視界が霞む。

それに気付いたひかるさんはわたしの目尻を優しくなぞった。


「お前は、独りじゃない」

『……、』

「だからもう、泣く事なんてないんだ」

『ひかるさん……』


違うよ。


わたしにとっての過去は、確かに消し去りたい程大嫌いな過去だけど。

何だかんだいって今まで背負って生きてきた。

過去を忘れて生きていこうとすれば、きっと出来る。


怖いのは、臆病で弱虫なわたしの側から“ひかるさん”という支えがなくなる事なんだよ。

わたしは、決して強くなんてないから。


わたしの支えがなくなってしまえばきっと、過去の絶望よりも絶望してしまうんだろう。


こんなに依存する予定じゃなかった。


二度と翔太の時みたいな過ちはしないって決めた筈だった。


わたし、何してるんだろう。

全てをリセットするために、ひかるさんと一緒に居るんじゃないの?


……意味ないの。

こんなんじゃ、意味なんてないって分かってるのに。

それでも隣に居られればって、願ってる。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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