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わたしのために怒ってくれた人、初めてだった。


この人なら信じられるなんて想えたの、初めてだった。


この人の側に居たいと、強く願った。


今度は、間違えたくない。

依存するだけの関係じゃなくて、わたしも必要だと思われるような、そんな関係になりたいと思った。


『あのね…』

「…ん、?」

『愛して欲しい、なんて言わないから…』

「うん、」

『側に、居させて、』

「……」

『側に…居たい。』


ひかるさんの胸に頭を押し付けて、縋るように願った。


「…側に、居るから。もう寝ろ。」

『……っ、』

「ずっと、居るから」

『……ん、』

「大丈夫。」


優しいひかるさんの声は、わたしを夢へと誘った。

ひかるさんの隣は、凄く落ち着く。


もし夢を見るならば、もうあんな夢じゃなくて、貴方の夢が見たい。









ーーーーーーーーーー



『……ん、』


いつの間に寝てしまったのか、辺りはもう薄っすら明るかった。

時計を見れば時刻は朝の六時。


『あっ…』


起こそうとした体がやけに融通きかないと思ったら、ひかるさんの腕がわたしの体をしっかり抱きしめていた。

ひかるさんの部屋。

ひかるさんのベッドで。

頬に熱が集中するのが分かる。


「……A?」


呟かれた言葉に、ひかるさんを見る。

眠そうな瞳が、ゆっくり開く。

色っぽくて、その全てにドキドキする。

…何より。


『名前、間違われてない…』


それが一番、嬉しかった。

顔を覗き込むと、ひかるさんはまだ眠そうに手の甲で顔を覆っていた。


『おはようございます…』

「…ん、はよ」

『ふふ、眠そう。』

「んー……あ、」


何かを思い出したように突然体を起こすから、わたしもつられて体を起こした。


「お前、熱は?」

『熱?』

「昨日、お前夜急に熱上がったから」


額に手のひらを当てて熱を測るひかるさんに、胸が温かくなった。

わたしはその手のひらを握って、ゆっくりと首を横に振る。


『平気です。』

「ほんとかよ。」


深く息を吐いてわたしの頭を二、三度撫でてから立ち上がった。

離れていく温度が寂しくて、それを目で追う。


「どうした?」

『……ううん。』

「A、」


呼ばれた名前がくすぐったくて、瞳を伏せた。

雰囲気でひかるさんがクスッと笑ったのが分かる。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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