レーテー川の小石を集めて (ページ24)

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直刀、忍刀、丸木弓、鍛錬中ページ24

矢「クサナギ…？あの長い直刀の方か？
八岐という名だぞ？」

菖蒲「こちらの方ではそう呼んでいたんだ鈍介(とんすけ)、貴様の名を教えろ。」

矢「貴様というのは喧嘩腰の言葉だ。
良いことが起こらない。
あと僕は矢だ。」

菖蒲「ふぅーん、なお、か。
余り聞き馴染みの無い名前だな。」
　
そしたら八岐さんがやってきた。

八岐「ところで、九十九神の世界は各々の時代からやってくるのだが…君等は何時から来た？
わしは弘張二年、皇紀1922年、西暦に変換すると1262年、天皇様の儀式も終わったし、その今上の亀山様は仏教に熱中だし、暇で、力も低下してるから、修行をこの三本でやりませうってことだ。」

菖蒲「俺は江戸の時代、商人街からやってきた。平和な中、忍びの者共を想い、作られた。
蘭からの書物に、アヤメは伝令の意を持つとあったらしいからアヤメだ。」

矢「僕は…時代と言われても、日没の土地の方から米というものが伝わっていることくらいしか…。」

菖蒲「ハッ、自らの生きてる時代も判らんのか、
赤ん坊向けの寺子屋に通ったらどうだ？」

八岐「まぁ待て、米ということは物部殿のときより随分と前じゃないか。そもそも時代という概念も無かろう。」

菖蒲は、八岐さんが俺を庇ったことに不満なようだ。

八岐「さて、出身時代も判ったところじゃし、
これからそれぞれの強さを測る。
順番でわしと戦ってみい！」

よく判らないが、時代は僕のほうが先。
いつものように霊体の矢を使って、八岐さんに照準を合わせていると、

菖蒲「よし来た！」

菖蒲が八岐さんの方へ走って行ってしまった。
そのときに体がぶつかり、矢を持った右手を離してしまった。

矢「まずい！危ないぞ!」

菖蒲に矢が当たったら折られるかもしれない。
秋も終わりに近づいて、冷たくなった空気がさらに冷えた気がした。

八岐さんを見ると、そこにはいない。

体に痛みを感じ、菖蒲の方向を見ると、菖蒲に怪我は無く、その前に八岐さんが立っていた。

おそらく僕の放った矢は八岐さんが刀で払ったのだろう。
霊体の矢を自分の矢筒に戻してから、恐る恐る八岐さんの顔を見た。

八岐「すまない。お前たちに期待をしすぎていたようだ。
戦いの作法さえ知らないとは思わなかったのだ。」

その言葉と気迫に僕ら二人は何も喋れなかった。

次の日から、片方は八岐さんと鍛錬、もう片方は食材の調達など雑用を一日交代ですることになった。
あと、鍛錬した方は夜に八岐さんに相談ができた。