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早く伏黒くんを硝子さんのところに連れて行って治療しないといけないのに全然変える素振りを見せない東堂に嫌気が差す。

傷付けたのは自分なのに伏黒くんにちっとも悪いとは思ってなさそうだ。



「そろそろ帰ったらどうですか?」
「用事まで時間はあるが余裕を持って行動しておきたいと思っていたんだ。さすがは天使、俺の考えを汲み取って意見を述べてくれるとは。」
「……はぁ、」



ただ帰ってほしかっただけなんだけど。

まぁこれで帰ってくれるならそれはそれでいいや、と思いながら伏黒くんに手を伸ばして立ち上がらせる。近くで見ると余計怪我が生々しくて眉を顰めた。

術式を使った気配はないから不通に殴っただけなんだろうけどどうやったらここまでの怪我になるんだろう。

想像しただけでも痛いなぁ。



「交流会でまた会えるのを楽しみにしているぞ!それと乙骨に伝えとけ、"お前も出ろ"と。」
「オレパンダ、ニンゲンノコトバワカラナイ。」
「……私も会ったことないから無理です。」



私達4人を残したまま帰っていく東堂に伏黒くんが舌打ちをした。

ここまで怪我を負わせられたんだから腹が立つのは仕方がないかな、なんて思っていると伏黒くんから抱き締められる。

急な行動に加えてパンダ先輩と狗巻先輩の前だからか、いつもより恥ずかしさが沸き上がってくる。



「怪我、ないか?」
「私はないよ。伏黒くん自分の心配しなよ。」
「そうだぞ恵。その傷じゃ痛むだろ、俺が運んでやるよ。」



自分の事より他人を優先して考えるのが虎杖くんと重なってクスッと笑いが零れた。

東堂からの告白に伏黒くんのハグが加わって不機嫌そうにしてる狗巻先輩と一緒にパンダ先輩の後をついていく。

フェロモンのせいとは言え、ここまで色々な人から求愛され続けてると自分がモテてる気になって駄目だな、ちゃんとしないと。



「あ、狗巻先輩。さっきは助けてくれてありがとうございました。」
「しゃけしゃけ!」



呪言は身体にかなりの負荷がかかるのに助けてもらってばかりでちょっと悪いな。

京都校に加茂さんがいるのは分かってるけどもし他に男の子がいた場合、何人の相手をフェロモンの餌食にしてしまうんだろう。考えただけでも頭が痛いな。

いっそのこと交流会に出ないって言うのも視野に入れてたけど伏黒くんがここまで傷付けられてる以上私もやり返したいしなぁ。

19:独占的な愛→←18:運命の天使



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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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