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16:褒美の口付 ページ35







何か重たい物に圧迫されている感覚がして目を覚ます。

「うぅ、」と呻き声のような声を漏らしつつ身体を起こそうとするけどやっぱり何かが乗っかっているみたいで眠さで重たい瞼を必死に開く。と、そこには五条先生の姿があった。

私を抱き枕みたいに抱き締めている五条先生は私が起きたのに気付いて「おはよう。」と甘ったるい声を出す。

寝起きの頭には眩し過ぎる美形が目の前にいて頭が混乱する。



「何してるんですか。」
「悠仁に起こして来てって言われたけど寝てるA見たら僕も寝ちゃおうかなって思って。」
「はぁ?」



よしよし、なんて子供をあやすように撫でられて眠気がまた襲ってきた。

5時間も寝てない身体にはある意味毒な状況で目を瞑る。が、五条先生に腕を引っ張られて強制的に起こされる。

今日が休日だったらこのままお昼まで寝ても許されるけど今日は生憎平日で。サボったら五条先生からも先輩達からも怒られそうだからできない。

まだベッドから離れたくない心を抑え込んで五条先生の後をついていく。と、リビングに入った瞬間ふわり、と美味しそうな匂いがした。



「お!Aおはよ!」
「これ虎杖くんが作ったの?すご……」
「簡単なのしか作れないけどな〜。」



五条先生が引いてくれた椅子に座ってもう準備されてある朝食に視線を移す。

サラダに目玉焼き、ウインナー、ご飯とお味噌汁っていういかにもな日本の朝食が並んでいて私より料理ができる虎杖くんに驚いてしまう。

五条先生と虎杖くんも座って一緒にご飯を食べ始める。

その光景が何だか微笑ましくて「家族みたい。」と呟いた。



「え?僕がパパで悠仁が僕等の子供ってこと?」
「いやいや!俺がパパで先生が子供でしょ!」
「虎杖くんがお母さんで五条先生がお父さんって思ってたんだけどなぁ。」



何で1番遅くに起きて既に作ってもらってるご飯を食べてる私がお母さんになってるのか分からないけど私からすると2人が親って感じなんだよなぁ。

家が厳しすぎて家族団欒ご飯なんて今まで経験したことないけど。

自分がもし結婚したら家族で一緒にご飯を食べて色々喋って、こんな感じの家族になれればいいなってそう感じる。

自分でご飯作る時以上に美味しい朝ご飯のおかげで完全に目が覚めてどんどん口に運んでしまう。気付いたときにはお腹いっぱいになってて、ふぅ、なんて溜息を吐いた。

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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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