01:想定外の事態 ページ3
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深夜3時過ぎ、真っ暗な裏路地で「やべぇ、」と呟きながら必死に身を隠す。
3級術師として入学した私に1人で2級呪霊の任務に行かせるなんて上層部もどうにかしてる。
元々は伏黒くんと一緒に向かう予定だった2級呪霊の任務。それなのに伏黒くんは1週間前に特級呪物の回収任務が入るし五条先生もいないし。
完全に上層部から五条先生に向けられた嫌がらせの巻き添えを喰らった。
「まぁ祓えないこともないけど。」
私の術式は代々慶光院家で受け継がれてる”呪霊を寄せ付けるフェロモン”で操りながら呪具で祓うっていういかにも簡単な物。
じわっとフェロモンを漏れ出しながら呪霊を呼び寄せて思い切り首元を切ろうとした、その時だった。
「....…え?」
目の前にフェロモンに充てられた別の呪霊が現れて腹に攻撃が当たる。鈍い痛みと同時に痛々しい声が漏れた。
痛さでその場にしゃがみこんだ私を取り囲むのは2体の呪霊。それも片方は2級。
油断してた、そう数分前の自分を悔いながら目を固く瞑った。が、呪霊の攻撃はいつまで経っても来ず、逆に聞き慣れた軽薄そうな声が耳に入った。
「な〜に諦めてんの。」
「え、五条先生……任務は……?」
「あんなの秒で終わるよ。」
いつの間にか倒されていた呪霊を蹴り飛ばしてから私に近付いた五条先生は手を差し伸べながら「ほら立って。」と言う。
また助けられた、なんて恥ずかしさを胸に抱きながら五条先生の手に触れた瞬間だった。
いつもの倍の効果はあるフェロモンが私の手を伝って五条先生に流れ込み、急いで手を離そうとする。が、五条先生に強く握られたせいで離れない。
どんどんフェロモンが流れ込んで、先生の手に染み込んでいくのが分かる。
対呪霊用のフェロモンって言っても人間に効果がないわけじゃない。このままじゃ五条先生の身体にも異変が生じる。
巻き込むわけにいかないと思って「離して!」と大声で叫ぶ。が、時既に遅し。
「やっば、生徒のこと好きになっちゃった、」
完全に想定外の事態。
人間にこんなに効果が現れるなんて知らなかった。
「学校辞めて僕と結婚する?」
「遠慮します。それにフェロモンに充てられただけなのでその気持ちも明日には消えてますから。」
そう答えて口説き文句を言ってくる五条先生をガン無視して高専の方向へと足を進めた。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時