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朝までは晴れていた天気がぐずつき始め、雨が降り注ぐ。
その雨の中、特級仮想怨霊が目撃された少年院から禍々しい呪力が漏れ出していた。
「我々の”窓”が呪胎を確認したのが3時間程前。避難誘導9割の時点で現場の判断により施設を閉鎖。”受刑在院者第2宿舎”、5名の在院者が現在もそこに呪胎と共に取り残されており、呪胎が変態を遂げるタイプの場合、特級に相当する呪霊に成ると予想されます」
特級、という言葉を聞いて先程の私のように野薔薇ちゃんと伏黒くんの表情が曇る。
任務だから仕方ないけど任務じゃなかったら逃げ出したいくらいだ。
「なぁなぁ俺特級とかまだイマイチ分かってねぇんだけど。」
「え、五条先生その説明もしなかったの?」
呪術とはかけ離れた世界から急に入ってきた虎杖くんに階級の話もしてないなんて、と五条先生に呆れてしまう。
ほぼ無知に等しい虎杖くんに伊地知さんが階級の説明をしている中、チラッと横目で警備に当たっている人を見る。完全にフェロモンに充てられている顔に嫌気が差した。
サッと私を自分の背に隠して「ジロジロ見てんじゃないわよ!」と匿ってくれた野薔薇ちゃんに惚れそうになる。
「慶光院さんも釘崎さんも、いいですか?今回は緊急事態で異常事態です。”絶対に戦わないこと”、特級と会敵した時の選択肢は”逃げる”か”死ぬ”かです。自分の恐怖には素直に従ってください。君たちの任務はあくまで生存者の確認と救出であることを忘れずに。」
伊地知さんから念押しの一言をもらって息を呑む。
そう、特級と出会ってしまった時の1番の対処法は”逃げること”。
ただ今回私は違う。もしも特級が攻撃を仕掛けてきたらその時は最大限に術式を使って自分を囮にしつつ懐柔しなければならない。
この3人に察されないようにしないと。
面会に来ていた保護者の人との話で皆の意識は”助け出す”っていう方に向いてる。私の行動を察するとすれば前からずっと一緒にいる伏黒くんくらいかな。
「”闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え”」
伊地知さんの言葉と共に建物が、私達が、世界が帳で覆われていく。
初めての1年生の合同任務なんだ、ちゃんと無事に戻れればいいけど。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時