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廃ビルから出てきた呪霊は急に祓われて、あれが新入生ちゃんの術式か、と感心する。

先程まで伏黒くんとバチバチににらみ合っていた五条先生は嬉しそうに笑いながら「いいね、ちゃんとイカれてた。」なんて呟く。



「新入生ちゃんの力量チェックですか?」
「ちょっと違うかな。都会は地方と違って狡猾な呪霊ばかりだ。自分もしくは他人の命を天秤にかけられてもちゃんと祓えるかを見たかった。まぁやり方はちょっと強引だったけど。」



五条先生もちゃんと考えて行動してくれてるんだなって少し感動しながら廃ビルを見ていると虎杖くんと新入生ちゃん、小さな男の子が一緒に出てきた。

五条先生が言っていた”他人の命の天秤”があの男の子だということを察して、人質がいる時を狙ってたのか、と疑ってしまう。でもまぁ全員無事ならそれでいいか。

強引すぎるけど、なんて思って溜息を吐いていると虎杖くんと軽い口論を繰り広げている新入生ちゃんと目が合って、「慶光院Aです。よろしくね。」と声をかける。と、新入生ちゃんは私の事を上から下まで審査するような目で凝視する。

狗巻先輩や伏黒くんとは違って見つめる、じゃなくて凝視って言葉がよく似合う鋭い眼光に肩が強張る。

慶光院家は術式でフェロモンを分泌できるせいで上層部から”呪霊の餌代わり”なんて陰口をたたかれることも少なくはない。新入生ちゃんもそう思ってるのか、と心配になっていると新入生ちゃんが口を開いた。



「可愛い。」
「……へ?」



想像していなかった言葉に間抜けな声が漏れる。

あの慶光院家の人間か、くらいの発言を想像していた私には全然予想もつかない誉め言葉に照れてしまう。



「あ……っと、釘崎野薔薇よ、よろしくね、A。」
「うん、野薔薇ちゃん。」
「そう言えば虎杖がフェロモンがどうとか言ってたけど……」
「実は呪霊の攻撃のせいで人間に対しても効くようになっちゃって。あ!でもね!男の人はフェロモンに充てられるけど女の子には無関係だから!」
「じゃあ私があのバカ3人から守ってあげるわよ。」



ニッと悪戯っ子のような笑みを見せた野薔薇ちゃんに抱き着き、私たちの前を歩く先生達に気付かれない程度に笑い合う。

ここ最近フェロモンの暴発のせいで疲れ切っていた身体に優しい野薔薇ちゃんの笑顔が沁みる。私の想像していた青春はこんな彼氏ができる日々だったのに。

何で暴発なんかしちゃったんだろう。そう悔いてももう遅いんだけど。

05:迷子の猫達→←04:新入生見学



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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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