Freiheit IV (ページ5)

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夜になると、渡辺の症状は少し悪化していた。
部屋の外から聞こえてくる咳の音に、料理を持ってきた佐久間は｢oh…｣なんて声を出す。
佐久間｢翔太～入るよ～｣
控えめなノックと共に入ると、部屋は真っ暗だった。
もしかして、朝からずっと布団だったの？
なんて思いながら部屋の電気を着ける。

渡辺｢う…｣
眩しさに目が覚めたのか、薄ら開けた目がぼんやりと佐久間の方を捉えていた。
佐久間｢しょぴまる～生きてまちゅか～｣
そうおどけてみせても、渡辺はほぼ反応せず、布団に潜り込む。

渡辺｢いらない…｣
佐久間｢駄目だよしょぴまる～ご飯食べなきゃ｣
渡辺｢おなかすいてない…｣
佐久間｢空いてなくても栄養取らなきゃ治るものも治らない！ほら、あーんしてあげるからおっきしましょうね～｣
もぞもぞ、と身体を起こす渡辺の口に、少し冷めたお粥を入れていく。
最早されるがままの渡辺に、｢あれ、幼稚園児の看病してたっけ｣なんて思ってしまった。

再び眠り始めた渡辺の部屋を後にし、キッチンに戻るとまだ手をつけてない晩御飯が1つ。
そういえば、宮舘が｢後で食べる｣って言っていたような。
時計を見るともう21時だ。いくら作業が途中でも、宮舘がここまで食事を抜くのは珍しい。
持っていくついでに仕事を交代しよう、そう思って情報室に入ると、佐久間は異様な光景を目にした。

情報室に常備されている簡易ベッドが開かれた状態で置いてある。
それはいい。問題は、その前だ。
宮舘が、その簡易ベットの前で倒れているのである。
佐久間｢国王ー！？｣
また働き詰めしたのかこの貴族は！なんて叫んで、食事をテーブルに置き宮舘に触れ、気付く。

佐久間｢あっつ…！｣
そこで佐久間は思い出した。
あの時川ダイブしたのは、渡辺だけではない。
佐久間｢…｣
風邪を引いた渡辺、39.1℃の熱、あの時川ダイブしたのは渡辺と宮舘。それはつまり、

佐久間｢…HQー！！！国王が！！すげぇ熱出して情報室で倒れているでありますー！！｣

キーンとハウリングを兼ねて出したその言葉に、ほぼ全員からの｢うるせぇ！｣という言葉が返ってきた。
しかし数十秒ともしない内に岩本が情報室に入り、何も言わずに宮舘を軽々とお姫様抱っこすると宮舘の部屋へと運んでいった。