Freiheit IV (ページ38)

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目黒『花の麓の金庫は氷を出して舌を噛み切ったらしいよ』
向井｢へぇ、ほんなら今朝の三日月は脱線しそうなんやな｣
目黒『冠よろしく今日は吐き気がする冷蔵庫だからね、チェックワン・ツー』
向井｢ねぇ、踊り場ホールに全ての指は投げ出されたで！｣
目黒『ふぅん。じゃあ夕闇も投げ出そうか』

王城の、国王の部屋。
そこにノックもせずに入る。この際無礼だとかそういうのはどうでもいい。
案の定そこにはA隊の隊長がいて
｢おや、自ら顔を出してきましたよ、この極悪人｣
なんて悪い笑みを浮かべる彼に、こっちも微笑み返す。

向井｢国王殿下、今朝お送り致しましたあの書類は読んでいただけましたでしょうか？｣
｢お、おぉ…読んだが、しかしあれだけで無罪と言うとは少し…｣
それもそうだ。だって書面で送ったのは全体の3割程度。
ざまあみろ、と言いたげなA隊隊長に、向井は特にあせる事なく続ける。

向井｢そういうと思いまして、新たな証拠をご用意致したのですよ｣
｢新たな証拠？｣
｢ふん、何を今更負け犬の悪足掻きを…｣

『そもそもS隊なんぞ、調子に乗ってるだけじゃないか！ここらで1回潰れて貰わないと困るんだよ！』
『それは確かにそうですね』
『だろう！？S隊を潰す為の証拠なぞこれだけでっちあげれば充分だ、前隊長の二の舞は踏むなよ…まあ、俺に辿り着くはずもないだろうが』

突如スピーカーから流れ出た音声に、A隊の隊長の血の気が引いたのが見えた。
向井｢あれぇ？これってA隊隊長の声ですよねぇ？｣
わざとらしくおどけた口調で言う向井に、国王は頭を抱え、A隊隊長は呆然としたように立ち尽くしている。
スピーカーからは以前そのような、｢A隊隊長がS隊を嵌めた｣という内容の話が流れ続けている。

向井｢…勿論、この王城内の騒ぎに関する然るべき罰は受けます。けれど、私の所属するS隊の隊員及び総監督はただの被害者にございます｣
そして、礼儀正しく頭を下げ、
向井｢本当に裁かれるべきはどちらか、今1度考えて頂きたく存じます｣
ニッコリと微笑んだ。