story221 ピアノソナタ『月光』殺人事件53 ページ27
成実side
彼女は男の遺体を見ながら自分が殺した人間の一人だと話した
俺はその後、お父さんのピアノと共に自害するつもりだったが彼女はコナン君の心に決して消える事のない大きな傷を抱えてしまう事になり、そんな事をしたら許さないと怒鳴る
その時、テープレコーダーをピアノの上に置いたかと思えば音楽を流し始め、これは何かと聞くと彼女は友達が亡くなるまでに弾いていた曲を自分が弾いたものだと言った
友達が亡くなるまで...きっとその友達はもう亡くなってしまっているのだろうと分かった
その音楽は俺が弾こうとしていた曲と似ていた為、驚く
その後、公民館から脱出して誰もいない場所へと案内された
その場所は船着き場の近くの小屋で幸いにも誰もいなかった為、俺は一安心する
船着き場の近くの小屋に到着した後、彼女が俺は無茶ばかりすると言ってきた為、俺は君の方が無茶ばかりすると言い返す
そして、俺の手は血みどろだと言いかける前に彼女は自分の手より綺麗だと話した
俺の手が綺麗だって...?
そんな訳ない...俺は人を殺してるから...三人も...
その事も話すが彼女は事件を止めて欲しかったからでは?と話した為、俺は驚きながら彼女の方を見る
彼女は初めて会った時から男だと分かってた様子で今まで俺は女として見られていたが、あんな風に見破られたのは生まれて初めてだ
その理由は身体つきから分かったらしい...
凄い洞察力と観察力だ...
殺人事件が起きてから俺が犯人だと既に見破っていたが、彼女は三人を見て見ぬふりをして助けずに殺した為、自分が殺したのも同然だと話す
俺の気持ちを分かってたらしいが止めなかったと言う
そして...彼女にはさっき話していたその友達がいて、俺と同じ事をしていた事も話してくれた
その目は何処か悲しげで、まるで...自分がもっと早く助けておけば友達は死なずにすんだのかも知れないと言う目だった
今の彼女は放っておけない...
放っておいたら何処か壊れてしまいそうで...
もしかしたら、その友達を亡くしてから泣くと言う感情を捨てたのかも知れないな...
あの子の目は泣くと言う事を我慢している事に気づいた俺は静かに彼女を抱きしめた
『えっ?成実、さん...?』
彼女は俺に抱きしめられた事で思わず声を漏らす
その声は涙声になっていた
やっぱり...この子はずっと我慢してたんだ...
友達を亡くしてから、泣くと言う感情を...
俺より、もっと辛く悲しい過去を持っていたんだ...
俺なんかより比べ物にならないほど...
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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2018年6月16日 2時