扁桃腺炎(和)6 ページ41
翔サイド
腕時計に目を落とすと1時半。
そりゃお腹もすくわーー。
早番だったから朝の7時には仕事始めて、12時にはランチにいける予定だったのに。
やっと落ち着いたセンター内を見渡した。
「ランチ行ってきまーす。救急搬送重なったらPHS鳴らしてー。」
言いながらセンターの自動ドアをくぐろうとしたとき呼び止められた。
ナ「翔先生、あと一人患者さんお願いできませんか？」
ええーまじかよぉーー。
「俺本当にお腹空いてるんだけどー早番だったのよ。他のドクター捕まえてー。」
ナ「救急外来の診察室で20分ほど待ってもらってるんですよー。」
「えーまじで？てか他に誰も手空いてないの？今初療室も誰もいないじゃん。」
ナ「翔先生ご指名なんです。」
「誰なの？」
ナ「和先生が熱で。」
それを先に言ってよ...
「まじで？いつ来たって？熱何度ある？バイタルは？」
ナ「午前の外来終わられて1時過ぎごろセンターに来られました。バイタルは体温38度、血圧110/70、呼吸数18、SPO2、98です。」
熱が高い以外は大丈夫そうで良かった。SPO2低いと喘息出るかなって心配だけど。
「了解しましたー。ああー誰かおにぎりだけでも買ってきてくれない？」
ナ「わかりました。」
ナースが早足でセンターから出て行った。
とりあえずは何かお腹の中にいれるもの確保できた。
じゃ和の様子見に行こうかな。
朝は和が起きる前に家出ちゃったから喉の調子がどうだったか診れてない。
でも智兄が診てくれたはず、と勝手に思ってたけど、そういえば何も連絡なかったな。
あれこれ考えながら救急の外来診察室まできた。
スライドドアを開けると診察台の上でころんと寝転がってる和がいた。
「だいぶ待たせちゃったね。具合はどう？」
側まで行ってしゃがみ視線を合わせる。
和「...喉...」
「喉痛くなっちゃった？朝はおうちで誰かに診てもらった？熱はなかったの？」
あれこれ聞いても身体が辛いのか目も開けない。
兄弟にメッセージ送ったほうが早いと思い片手で和の頭をなでながら
もう片方の手でスマホを操作する。
『今朝和のこと診てくれた人だれ？』
返事がくるまでしばらく待ってみる。
「喉の痛み酷くなってる？」
ゆっくりこくんと頷いた。
「そっか。しんどかったね。朝の外来は全部こなしたの？」
またこくんと頷いた。
診察って診てる時間なんてそんな長くなくて
問診だったり説明だったり話してる時間の方が圧倒的に長い。
喉酷使しちゃったんだろうな。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
