腸炎9 ページ22
潤サイド
「どうしたの？」
走って救急にくると智兄以外みんな集合していた。
翔「発熱、脱水、激しい下腹部痛と下痢、嘔吐・嘔気はない。少し鎮痛剤効いてきたみたいだけど。」
「いつから？」
翔「おそらく、昨日から。」
「おそらく？」
和「今朝家帰ったら部屋でショック手前状態みたいな感じだったの。夜通し痛みと下痢だったのか反応も悪かった。」
雅「エコー見た感じだと憩室炎でもなさそう。カメラ入れないとはっきりわかんないけど。筋腫が邪魔であんまりちゃんと見えないけどね。」
「で、俺呼んだのは？」
雅「急激な下腹部痛だったから念のため卵管、卵巣の炎症除外したくて。」
「採血結果出てる？」
翔「まだだけど急がせる。熱はメチロンのおかげで39度2分まで下がってるけど。まぁこれじゃ体楽にはらないだろうな。」
和「酸素ちょうだい。呼吸ちょっとしんどそう。」
確かに浅く速い呼吸をしている。これだけ熱あると仕方ないけど。
でもこんな状態だと身体も休まらないだろうし。
「はい、使う？」
手ぶらな和兄に白衣のポケットから聴診器を出して渡す。
和「珍しい！」
「珍しいって失礼な。俺だってドクターだよ。聴診器くらい持ってるわ。」
翔「使うの？」
「は？翔兄まで、なんてこと言うの、まったくー。」
和「いや、だってさー、何に使うのよ。まさか呼吸音聞くわけじゃあるまいし。」
「聞くこともあるよ！」
翔「え？そうなの？」
「そうなの！」
和「何気にめっちゃ良いの使ってるし。」
「あ、形から入るタイプだからね俺。」
和兄がAのこと診てる間に雅兄がやってくれたエコー画像を見る。
確かに筋腫でっかいのがどーんと居座っていて。
雅「この筋腫が腹痛の原因てことは？」
「まぁないだろうね。大きさ変わってないし、だいたい下痢と発熱との関連が思い浮かばない。膣の分泌液培養に出しても良いけど、とりあえず輸液と絶食で様子見てからでも遅くないよ。」
和「エアはちゃんと入ってる、両肺とも。気管支も綺麗な音してるか喘息の心配もいらないね。」
翔「オッケ。じゃ対症療法で経過観察。採血結果と経過によっては回復を待って内視鏡ってことで良い？」
雅「うん。あとは智兄の領域だね。俺じゃない。」
「だね、俺の領域でもないはず。」
和「眠れそうな感じになってきたよ。」
皆で顔見ると確かにさっきより幾分楽そうな表情をしている。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
