腸炎1 ページ14
Aサイド
お腹痛い。
お腹こわした。今朝からずっと下ってる。
おまけに熱っぽい。
トモ君こんな時に限ってまた地方の学会だし、泊まりだし。
頑張ったら帰ってこれるんじゃないの？って思いながらも
学会の後疲れてるのに電車乗り継いではしんどいよね...
でもこの間胃腸炎なってしんどかったときもトモ君いなかった。
いっつも肝心なときに私じゃないほかの誰かのために、患者さんのために働いてるなんて。
お医者さんの家族ってこんなもんなのか...
はぁぁ。
いててて。
帰ってからずっと部屋でひとり。
痛みの波が襲ってきては身体を丸めて耐えてトイレも何回も往復した。
スマホを手に取り時間を確認する。
8時前。
みんなどこ？
夕方誰か帰ってるかなと思ったのに誰もいないし。
リビングのカレンダーを見て勤務確認したら、雅兄と翔兄は帰ってるはずなのに。
昔から思ってたんだけど、あのリビングのカレンダー詐欺だよ。
全然あの印どおりにみんな家にいたためしがない。
患者さんが急変した、急患が運ばれてきた、当直急に入った...
そんなんばっかり。
本当にそんなしょっちゅう急なことばっかりあるのか怪しいもんだし。
ううううぅぅぅ。
また痛みの波が襲ってきたので身体をきゅうーーーって丸めて息を止める。
何か食べたものにあたったのかなぁ。
心あたりがないんだけど。
はぁはぁはぁはぁ。
ふぅふぅふぅふぅ。
あ、トイレ行きたくなってきた。
動けるかな。
そっと体起こしてみたらねじれるような絞られるような痛みがお腹の下のあたりから腰まで広がった。
ああぁーいったぁぁい。
一度ベッドのふちに腰掛けて体を折り曲げる。
痛みが治まるまでって思ってたけどトイレ行きたい限界。
ゆっくり立ち上がり体折り曲げたままトイレに向かう。
ふぅぅーー。トイレに腰掛けたらびしゃびしゃと水のような音。
あーしんどい。
誰か帰ってきてくれないかな。
玄関のドアが開いた音がした。
やっと楽になる。そう思ったら頭がフラっとして一瞬気が遠くなった。
和「ただいまーA。雅と翔兄はなんか事故あったみたいで救急すんごいことなってたからまだ帰って来れないと思う。俺もさー急に当直変わってって言われたから着替えだけ取りに来たの。すぐに病院戻らないといけない。あれ？Aどこ？」
階段上ってくる音が消えたから多分私の部屋覗いたんだろう。
和「あ、トイレか、ごめんごめん。智兄は今日泊まりだって。潤は多分帰ってくるよ。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
