肺気胸(雅)3 ページ3
和サイド
隣で寝ている雅。
よほど疲れてるんだろうな。
昔から頑張りすぎるところあるから心配だよ、本当に。
それに、心配かけないようにって無理することも多いし。
起こさないように、そっと手首を触れて脈を診た。
規則正しく打っているな、熱もないみたいだし、やっぱり疲労かな。
でも、ちょっと気をつけて見てあげてないと無理してしまうかもしれない。
ここ数日、雅のことに気をつけるように皆にも伝えておこう。
そうこうしているうちに、下車駅が近づいてきた。
「雅、そろそろ起きて。次で降りるよ。」
肩を数回叩くとぱっと目を覚ました雅。
さすが外科医だな。寝ているときに起こされる、ということに慣れすぎている。
2人で駅から歩いて帰るなんていつぶりかなー。
オフも出勤時間も帰宅時間もほとんどバラバラだから
なかなか一緒になることなんてない。
でも、こういう何でもない時間が大事だったりするんだよな。
そう思いながら歩いていると、
少しずつ歩くスピードが遅くなる雅。
少し顔面も蒼白している。
「どうした？歩けないほど疲れてた？
ごめん、タクシーに乗ったら良かったね。
ついつい久しぶりに雅と歩いて帰れるって思って嬉しくなって。
ちょっとあそこで休もうか？」
と、バス停のベンチを指差す。
雅「う、うん。
病院出たら、緊張が解けて、溜まってたさ、疲労がさ、どっと出てきたみたい。
ちょ、ちょっとだけ、休憩、する。」
やっぱり息が上がってるな。
この距離をあのスピードで歩いただけで息切れがするって
ちょっとよろしくない状態だな。
疲労による貧血でちょっと血流悪くなってるのかな。
「雅、頭クラクラしたりとかフワーって浮いたような感覚はない？」
雅「うん、だ、大丈夫。ちょっと、座ったら、すぐ、良くなる、と思う」
あんまり話させるのもつらそうだと思い
俺も雅と一緒にベンチに腰掛けた。
しばらくすると呼吸も整ってきた。
ちょうど空車のタクシーがやってきたので止めた。
「すみません、本当にすぐそこまでなんですが、
乗せてもらえますか？ちょっと具合が悪いみたいなんで」
とういうとタクシーの運転手さんは
もちろん、どうぞどうぞを快くドアを開けてくれた。
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作成日時：2013年6月4日 3時
