FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - (ページ42)

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「……！」
「魔法が……！！？誰だ…！！？」

目を瞑ることはしないまま、目の前に迫ったジョゼの魔法。けれど、それは私の前に届く前に暖かい光に打ち消された。

「いくつもの血が流れた……子供の血じゃ。出来の悪ィ親のせいで子は痛み、涙を流した。お互いにな…もう十分じゃ……終わらせねばならん！！！」

この温かくて、懐かしいような魔力で分かる。土煙が起こる中で姿を表したひとりの人物。その見掛けは小さくとも、私達にとっては何よりも大きな存在で。

「「マスター…！」」

「天変地異を望むというのか」
「それが家族(ギルド)の為ならば」

同じ聖十大魔道の称号を持つ魔導士のぶつかり合い。その強大な魔力に大地が、海が、大気が怯えているのが分かる。それこそ、本当に天変地異が起きても可笑しくない程の。 ( にしても、こんなにマスターの回復が早いのは… )

「全員、この場を離れよ！！」
「マスター！」
「何で此処に…！？」

マスターの魔法がジョゼの魔法を打ち消し、そして庇うように立ったかと思えば、告げられた言葉に真っ先に反応したのは目覚めたらしいグレイとエルフマンで。

「言われた通りにするんだ」
「エルザ…」
「でもよォ…！」
「貴方が出てきた以上、ザコにもう用はありません。然し、後で必ず殺してあげますよ」
「私達が居たのでは、マスターの邪魔になる。全てをマスターに任せよう」

自力で動けるらしいグレイ達は大丈夫だろうと、私をここまで運んでずっと戦いを見守ってくれていたハッピーに声を掛ける。多少なりともジョゼの禍々しい魔力の影響を受けていたのだろう、あいと疲れ気味に手を挙げた。

歩き出したのは良いけれど…いつの間にか靴はボロボロになっていて、瓦礫を踏んでいたらしい。道理で足が痛いはずだと辛うじて残っていた靴だったはずのそれを脱ぎ捨てた。

「…ッ、」
「A」

外套はアクアに渡したままな上、情けない姿を皆に晒す訳には行かず、エルザ達とは離れて森の方へと向かえば、流石に限界が来たようで倒れ掛ける。それを優しく受け止めてくれる存在と、耳元に優しく届いた声。

「ミストガン。……やっぱり、貴方だったんだ」
「マスターの魔力の事を言っているのなら。……私同様に表に出ない理由が有るにも関わらず、君には負担を掛けてしまった」
「ん、後のこと考えると…正直、怖いけど……ギルドの事を守れなきゃ意味無いもの」

連戦でボロボロになってしまったのは靴だけではなかったようで、身体を包むように掛けられたマント。それが温かくて、少しだけ目を閉じた。

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