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宏光の誕生日当日
開場の時間…
皆、スクリーンのメッセージには気付いてくれてるかな…
リハを少し抜け出して、確認した座席の印は、完璧
ケーキもプレゼントも、宏光に見つからない場所にセッティング完了
メンバーとの打ち合わせも、OKだ
俺のやりたい事は、細かい事まで言わなくてもちゃんと理解してくれるメンバーに、改めてキスマイのチームワークの凄さを感じた
「太輔、緊張してる?」
普段とはちがった緊張感に、胸をドキドキさせていると渉が話しかけてくれた
「さすがにね…。一発勝負だし。」
チラリとステージの方向を見上げると、渉の手が肩に触れた
「ん?」
「……今回ね、このサプライズを全部太輔に任せたのには、弟達の想いがあって…」
少しずつ増えていく会場のざわめきの中、渉の声が静かに俺の耳に届く
「デビューして仕事も増えて…俺達を取り囲む環境も随分変わって…幸せな事も増えたけど、我慢する事も増えたじゃん?」
露出が増える事は幸せな事
デビュー前、俺達はこの世界で頂点を目指したいと奮闘してきた
その頂点に向けて、全速力で走れる道を手に入れたと同時に…犠牲にする事も増えた
「ニカ千や宮玉、わたたい…他のコンビに比べて、藤北は制限も多くて随分と2人が我慢して来た事、皆分かってるから。」
「…」
「弟達が、2人が思いっきり公の場で、藤北を…恋人同士の空気を楽しませてあげたいって。」
皆…
「これは…弟達と俺からの…今まで俺達を引っ張ってくれたミツへのプレゼントでもあるんだよ。」
「渉…」
途中から…我慢していた涙が零れた
「大丈夫だよ。俺達もファンの皆も信じて。」
「うん。」
ありがとう…
浮かんでくるのは、その言葉だけだった
宏光、俺達は幸せ者だね
「絶対成功させよう。」
渉の言葉に、涙を拭いて微笑んだ
開演時間
宮田の掛け声で円陣を組む
宏光は、サプライズには全く気付いていない
宏光にとっても、俺にとっても特別な日…
ふと目があった宏光が、俺に笑顔をくれる
宏光、これから幸せな時間へと連れて行くから
可愛い笑顔、沢山、溢れさせて見せるからね
キャァァーーーーー
会場から聞こえるファンの皆の声
ついに…幕が上がった…
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作者名:MISA | 作成日時:2015年11月1日 21時