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家に帰り、構成のリストと資料を読み返す





MCでサプライズをやるのは、ありきたりだ

宏光だって、MCで自分の誕生日に触れてくれるんじゃないかって期待してるに決まってる

なら、そこは敢えてのスルーで宏光を一度ガッカリさせてやろう

となると、サプライズはアンコール…

それもある意味、普通か…

本当のサプライズが出来る場所…





「あ…ここだ…」





ファンの子とペンライトで交流できるコーナー

ペンライトの説明や、中心になってファンを動かすのは宏光だ

会場を真っ赤に染めようか…

いや、もっと宏光が感動するような演出を…





「…ただいま。」

「うわっ!…あ、宏光っ!」

「何してんの?」

「帰って来てたんだ。全然気付かなかった。ごめんね。」

「ううん。そんなに夢中になって何してたの?」





覗き込まれた宏光の体から、雨の匂いがする





「あれ?雨?」

「うん。さっき降り出したんだ。……セットリスト?」

「あ、あぁ…うん。ちょっと確認。」

「そっか。…何か気になる事?」

「ん?違うよ。どうして?」

「なんか考え込んでたから…」





心配そうに俺を見つめる表情に、頬を手で覆いキスをした





「大丈夫だよ。『証』ね。楽しみだなぁって思ってた。」

「んふふ。そっか。」





安心したように微笑んで、宏光からキスをしてくれた





「俺も、すげぇ楽しみ。」





宏光が言い出さなければ、この演出は出来なかった

2人並んでお揃いのギターでバラードを歌う…

こんな事が出来るなんて、今まで思ってもみなかった





「宏光……愛してるよ。」

「んふふ。どうしたの?急に…」

「なんとなく…言いたくなった。」

「ありがと。俺も…愛してる。」





言葉って不思議だね

たった5文字の言葉が俺の心を満たしてくれるよ





…決めたよ

あの大きな会場で、俺は…俺の想いをファンの子に託して宏光に伝えるよ

だから…宏光のその大きな瞳で俺の想いを受け取って







.

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作者名:MISA | 作成日時:2015年11月1日 21時

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