何ﾍﾟｰｼﾞ目かに恋をしよう。

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＜北side>






太輔が布団を干してるのを俺はボーッと眺めてた。






北 ｢ここ…庭広いよな…｣


藤 ｢んー？まぁ平屋だしね〜｣


北 ｢でも殺風景だな｣


藤 ｢まぁ、一人暮らしだからね〜(笑)｣


北 ｢なんか植えたら？｣


藤 ｢えぇ〜、いいよ別に｣


北 ｢つまんね｣


藤 ｢宏光が世話するなら良いよー？｣


北 ｢えぇー(笑)｣


藤 ｢あ、夏になったらここでバーベキューしよっか！？｣


北 ｢えっ！？したいっ！したいしたいっ！！｣


藤 ｢うん、しよ(笑)｣


北 ｢あとは何が出来るかなぁ〜？｣


藤 ｢んー、花火とか？｣


北 ｢いいね〜｣


藤 ｢風鈴吊るしてー｣


北 ｢浴衣とか着ちゃうー？(笑)｣


藤 ｢いいね〜♪｣






そんな先の予定ばかりを俺らは無邪気に話した。

太輔のこれからに俺がいるのが嬉しくて、

俺も思った事を口にした。






藤 ｢ねぇ、他は何がしたい？｣


北 ｢…｣









恋がしたい。

太輔と恋愛がしたい。

でもそれは零しちゃ…駄目だ…。









北 ｢お前は？｣


藤 ｢んー、取り合えず今は昼寝したいかも(笑)｣


北 ｢さんせぇ〜(笑)｣






2人で座布団を枕にして、

夜寝る時みたいに肩並べて、本を開いてまた話をした。






北 ｢だからさ…ここは…｣


藤 ｢……ｽｰ…｣






寝ちゃった…。

そりゃそうか俺より先に起きてたんだし。

何よりこの暖かさ。

お昼寝日和ってこーゆー日だ。






北 ｢ふぁあ〜｣






寝てる太輔を見てたら俺にも訪れた睡魔。

うつ伏せになりながら、太輔の寝顔を眺める。



ふふふ。

寝顔すらカッコよく見える。

春の妖精が俺にチャンスをくれたんだ。

今のうちに沢山彼を沢山見ときなさいって。



透き通る睫毛に、

今日は休みだからセットされてない髪。

寝てるのにだらしなくない口元。



俺とは大違いだ。



静かに聞こえる寝息に耳を澄ませて、

一緒のタイミングで呼吸をしてみたりして、

なんだか胸が擽ったくなって口元が弛む。









これはきっと『愛しい』だ。









ぎゅーって抱き締めたくなるような、

春の陽射しにも負けない暖かい気持ち。









北 ｢………ｽｷ｣









小さく小さく零れてしまった愛情。

もし聞いてたらさ、今のは無かった事にして。

伝えたくて出たんじゃないから。









ただちょっと…









しまいきれなくて零れただけだから…。

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