【 Fisher's 】 おさかなたべたい 、 【 男主攻 】

続 ページ13

You side_



珈琲を運んだあと、カウンターの壁に


寄りかかりながら あの人の事を考える。



一週間くらい前からうちに来てくれる


大事な御客様だ。 ……正直に言おう、


その一週間前に一目惚れした。



ほかの御客様に接客をしている途中にも


あの人の事を考えているし、


家にいる時もそうだ。



今もこうして考えてる。



… 俺の小指に結ばれている赤い糸が



あの人の小指にも結ばれている様に見えた。



あの人が 俺の運命の人なのだろうか。



『 …上がります 』



まだ入って三十分も経っていないのに、


気付いたらそう店長に言っていた。



いま言い直しても意味無いや、


店を早く出てあの人を追いかけよう。




…


…


…




裏口から出て表の方へ出る。


キョロキョロと周りを見ていると


少し遠くにあの人の後ろ姿が見えた。



『 っ、あの、 』



小走りして肩を掴んで



モ「 …!? 」



『 上がってきました、お話出来ますか? 』



こちらを向かせて 片手を両手で包み込んだ



少しの間を後にコクリと頷いて下さったので



人の少ない通り道のベンチまで移動した。



･



･



･




『 俺の小指に結ばれてる糸、
ㅤㅤ貴方の小指の糸に繋がってるんですよね 』




…少しの沈黙を破ったのは俺だ。


思い切って言わなければ始まらない




『 そんで…えと、初めて店に
ㅤ来て下さった時に一目惚れしました 』




まさか人生初の告白相手が男だとは


想像もつかなかった。



告白する時ってこんな恥ずかしいんだな。


女子凄いな…




そう思いながら 付き合って下さい、と


頭を深く下げながら 呟くと


お客さんが息を吸って



モ「 頭上げてください 」



『 …… … 』



モ「 仮って形でも良いですか?
ㅤㅤ名前知らないし、
ㅤㅤ気持ちの整理着いてないし… 」



仮でも良いですか? って。


仮でも良いですよ。逆に。


飛び付きそうになった時、



モ「 でも、多分同じ気持ちだろうし…まぁ… 」



『 〜〜っ!! 』



紅くなるこの人に


我慢出来ず抱きついた。




モ「 いや、え? 積極的… 」



『 ずっとずっと、俺も知らない所で
ㅤ多分俺、眼で追いかけてたと思う 』



モ「 っ、 !? 」



いつの間にか キスしてた。


ま、 仮にも… 恋人なんだし良いでしょ?



唇を離した後にそう言うと…





･



･



･



･




モ「 馬鹿! 」



ﾊﾞｻｯ



隣で寝てたモトキが急に起きた。



夢オチって奴。

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