なんででしょう？【青葉城西】3巻

75話目 ページ12

「ありがとう」

そう言って笑った傘村は食堂の椅子に腰かけた。
立っている俺に対して手招きして、隣の席をポンポンと手でたたく。

要は座って？の意思表示だ。

仕方なく腰かけた俺は傘村と向かい合う形になる。

これが先輩だったら。

そう考えると案外悪くないのかもしれない。
まぁ、目の前にいる相手は最悪だが。

「Aちゃんのこと、すき？」

唐突なその質問に一瞬ためらう。

好きだと正直に答えたら何かされるのだろうか。
しかし、嘘でもそんなことは言いたくない。

２秒の葛藤。

俺の答えはNOだった。

「そうなんだ。よかった」

傘村は近づいてきて
「じゃあ、私にもチャンスあるね」
そういって抱き着いてきた。

俺は瞬間的に傘村のことを押した。
少し前の俺を、もうどうしようもないのに責め立てる。

「なんで？」

傘村は涙目で、今にもその涙はこぼれて落ちてしまいそうだった。

「あんたのことは、嫌いです」

しかし、俺はそういって食堂を後にした。

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