最終話 夙夜夢寐の運命 ページ47
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少年に夕食を奢って帰途につく。その道すがら電話がかかってきた。ユリカかと思いながら電話主を見て、ヤツの二文字に胸が高鳴る。
「もしもし？ 有人か？」
街灯にもたれかかりながら声を弾ませた。
一年前には同じ電話で諸国をふらふら渡り歩いていることを連絡し酷く心配させてしまったので、安定した収入を得ていると向こうの声も安心している。
「ああ、予定通り三日後には日本に帰れるよ。……ええ！？ 急遽試合が入ったぁ！？」
人通りが少ない道だ、Aの悲鳴に近い声を聞いているのは夜空に輝く月だけ。
「ちゃんと来週末には帰国できんだろうな？ さすがに式場は待っちゃくれねえぜ。……そーかよ。へいへいそりゃ良かった。ったく、久々に長く一緒にいられるって浮かれてたのはあたしだけかよ」
ため息混じりにそう言うと、鬼道は少し黙ってから電話口に囁いた。
Aが眉を顰める。
「……シュクヤムビ？」
夙夜夢寐。
「辞書で引けって……はいはいちょっと待て。えーと？ 夙夜夢寐……」
じわじわと頬が熱くなる。
「なっ、おま、そういうことを突然……！ 照れてねえ！ くそ、お義父さんと凌朝連れて一週間旅行に行ってやろうか！？」
この世には運命という言葉がある。
それは便利な二文字で、大抵の出来事をそれのせいにできる。
そいつをあたしは、身に降りかかる不幸の言い訳の吐き溜めにしてきた。
「…………」
だけど。
お前との出会いが、運命だとしたら。
「……るせえな、……待ってるよ。話したいことがたくさんあるんだ」
そいつは案外、悪くないものなのかも知れない。
夙夜夢寐。
日中思い焦がれること。
完
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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