運命260＃ 哄笑 ページ46
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Aが入ったのは街の玩具屋だった。迷いなくそのうちの一つを手に取り、店員に支払う。
そして、そのサッカーボールを少年に手渡した。
「はい。やるよ」
「ば……馬鹿じゃねーの！？ 遊ぶ時間があるなら仕事しねえと、俺らは生きていけ……」
手にしていたボールが消えた。と思いきや、それはAの足元に。
目を丸くする彼の前でAはリフティングして見せる。
「来いよ。あたしからボールを奪えたらお前の勝ち」
「だ、だからっ」
「お前が勝ったら夕飯奢ってやる。おーい！ そこのお前ら、来い！」
わらわらといた同じ街の子供たちがAの呼び声にこちらを振り向いた。同じくらいの歳だが、話したことはない。
「全員参加な、かかってこいよ。サッカーやろうぜ」
「……いいだろう、乗ってやるよ」
それで今夜の晩飯代が浮くなら安いものだ。幸いなことに少年は体が小さい分、すばしっこさには自信があった。
のに。
Aはボールを巧みに操る。まるで魔法のように彼女の思った通りにボールが動き、彼女の足元に吸い込まれていく。
「ほらマイク！」
「おわ！ わ」
いつしか勝負はチーム戦にもつれ込む。Aは仲間にパスを回した。
「いいぞ！ そのままドリブルだ。そこ！ ロイにパス！」
マイクからパスを受けたロイがゴールに見立てた壁にシュートを決める。
誰よりも子供のように手を叩いて喜ぶAの表情。点を取られたのに、少年はニッと口元に笑みをなぞらえた。
「くっそお……次は負けねえ！」
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「楽しかったよ、またやろう！」
街の子供たちは次々と少年に手を振って帰っていった。ボールを大事に抱えた少年がAを見上げる。
Aは尋ねた。
「どうだ。楽しかったろ？」
「うん！」
パシャリ。笑顔を写真に納めると、カメラを下ろした先では少年がぽかんとしていた。どうも、写真家であることを忘れられていたらしい。
「大変な仕事でも、終わったらこうして友達との楽しいことが待ってるって思うと、頑張れるだろ？ 代金は今の写真でいただいたことにしておくよ」
少年は照れくさそうに俯いてしまったが、その手はAの服の裾を引いた。
「うん？」
「晩飯。奢るって約束だろ」
目を瞬かせて刹那、哄笑。ちゃっかりしてやがる。
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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