運命258＃ 変わらない ページ44
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あれから七年。
高校を出たAはそのまま地元の新聞社に所属するカメラマンになった。
しかし、執拗に当事者を追い詰める手口に嫌気が差し僅か三ヶ月で退職。その後はしばらくの間、フラフラと放浪しながら目にかなったものを写真に撮り、たまに写真集を販売して旅費を稼ぐ生活が続いた。
そんな彼女は今、世界各国の美しい情景を納める雑誌社の専属カメラマンとして、ようやく腰を落ち着けている。
「……うん。どれもいい写真。お疲れ様、A」
現像された写真を一枚一枚眺めていた雑誌社長が笑顔で頷いた。Aは鼻の下を擦りながら「へへっ」と笑う。
「だろ？」
「うん。……」
「？ どうした」
「いや……夢みたいだって思ったんだ」
社長は過去ツインテールだった卯ノ花色の髪をハーフアップにし、少し落ち着いた雰囲気を醸し出していた。そのせいか、少し微笑む仕草も大人びて見える。
「Aと……『メイビス』のみんなと、こうして働けているなんて」
「あたしもだよ。ユリカたちに誘われた時は驚いた」
肩を竦める。ユリカが目を細めた。
自分たちの少年少女時代を奪われていた元「メイビス」のメンバーたちは、ユリカの声で再び集結し雑誌社「メイビス」を建設。
あの日ママン・レーヌが「荒んでいる」と評した世界に煌めく燐光をひたすら発信し続ける月刊誌を発行している。
小さくて滅多に取り上げられない国も含め、詳細に魅力を伝える文面と飾らない写真が人気を博していた。
「で、次は……」
「分かってる。行ってくるよ」
「え、もう行くの？ しばらく休んでからでもいい」
「いいんだ。充分休んだ」
手首に着けていた黄色のうさ耳ゴムで髪を括る。
「ただ、今回の件が終わったらしばらく休暇もらうぜ」
「ああ……そうだったね。分かった」
Aが笑顔なのを見ると、ユリカも嬉しくなる。再開した当時は、思っていたのと違った記者の仕事に辟易し、写真集も自分の中で「逃げ」だと理解しており、疲れた様子だったからだ。
雇い入れたあと、みるみるうちに生き生きとし始めた彼女を見ると、少しは借りを返せたようで良かったと心から思う。
ふと、それを彼女に言った時のことを思い出し、クスッと笑った。
──貸しなんて作っちゃいねえよ。家族を、友達を助けるなんて、当たり前のこったろ？
変わってない。
彼女は、十五年前の感情を自覚した日から、蓮水Aのまま。
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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