運命254＃ 燕尾服 ページ40
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漆黒の燕尾服に白ネクタイ。タキシードでも良かったのだが、相手が相手のため父と相談し念を入れることにした。
鏡の前で装いを確認し、振り返ると、袴田が深く頭を垂れた。それが是という返事であることは使用人を抱える者ならばすぐに察しがつく。
さて、こちらの準備は整ったが、心配の種であるあいつは……。
ドレスがいきなり破けていたりしないだろうかと心配しつつ袴田が扉を開けるのを待っていると、通常すぐに外のドア横に控える彼がそのまま後ずさる形で鬼道に道を開けた。
開けたのは道でなく、視界であった。
ドアの前に、Aが立っていたのだ。
クリーム色のドレスの裾が膝丈でひらひらと揺れていて、ウエストに白く太いベルトが巻かれていた。髪は下ろして毛先をくるくると巻いている。
「……もう一人で着替えられたのか」
つい悪態をつくと、Aはみるみるうちに頬を膨らませてしまった。
「当然だろ、もう昔とはちげーんだっ。それより、言うことがあんだろが！」
「冗談だ。よく似合っている」
まだじっと上目遣いを向けてくるので、キスを落としてやる。ただし、紅が落ちないように頬にずらして。
「……見惚れたよ」
「ほんとか！？」
ぱあっと目を輝かせた彼女が、不意に腕を鬼道の首に絡ませちゅっとリップ音を鳴らす。
「……有人も、似合ってる。惚れ直した」
紅がつくからとはいえ、こんな可愛いことを耳元で囁かれてリップ音まで鳴らされたのに、その唇を食むことさえできないなんて、なんの拷問だろう。
鬼道は動揺が表に出ないように、一度ぐっと言葉を飲み込んで余裕気な笑みを揺蕩わせ、「そうか」と答えた。
「やっぱ、白も似合うな」
そんなことを気にもしないAは鬼道の蝶ネクタイに触れている。似合う、といいつつ、どこか不満げだった。
ネクタイは初め、彼女が選んでくれたのだ。しかし、真っ先に指し示したのは赤。ドレスコードに記載がないとはいえ、赤は目立つだろう。
「白じゃ不満か？」
「そうじゃないけど……」
唇を尖らせて彼女は拗ねたように言う。
「今日は大統領の娘の誕生日パーティーなんだろ？ そんなところにこんなお前が行ったら、他の女にお前が格好良いのがバレちまうだろ？ だからせめて、お前はあたしのモンだってアピールしたくて……」
自分の髪と同じ色のネクタイを選びたかった、と。
「……有人？ どうした？」
「いや、……すまん、なんでもない……」
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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