運命252＃ カメラ ページ38
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青野はカメラマン兼記者。話者は別にいて、その間の一コマを撮影したり、たまに自分から投げかけて一瞬の表情を切り取ったりする。
Aは確かにそばで見ているだけだった。しかもやたらと気配を消すのがうまい。それが逆に気になって、集中力を欠かせた。
数日で飽きるだろうと思っていたが、一週間してもついてくる彼女に青野は頭を抱えた。記者が高校生を連れ回している、なんて、他誌の記者に知れたら……。
そもそも、彼女は元イナズマジャパンのサッカープレイヤーだ。半年ほどドクターストップによりサッカーを禁じられていたようだし、不貞腐れていた時にふと自分を思い出したにすぎないだろう。
青野はその日、明日は臨時休業だ、と言ってみた。Aは「そうか」と答え、肩を落としたようだった。
無論ネタの書き入れ時である休日は特ダネへの取材が入っている。こういうことを続ければそのうち諦めるだろうと思って足がかりを作ったのだ。
けれど、思いの外Aが残念そうな顔をするので、少し胸が痛んだ。
そして、翌日。
平然と現われた彼女に、青野は目を瞬いた。
「どうやって、社内の予定を入手した？」
「へっ、それくらいわけねえよ。なんたってあたしは……」
言いかけてふらりと目が泳ぐ。
「……ま、まあ、どうでもいいだろそんなこと。ほら、今日は大物なんだろ？」
取材相手までバレている……。
その一件から、もう彼女に関しては諦めた青野である。
熱心に青野のファインダーを向ける横顔を見、話術を聞き、帰り際に気になったところを質問攻め。
取材のない日にも休憩室に現れて自分の撮った写真を見せ、意見を聞いてくる。
ああ、面倒なものを背負ってしまった。
しかしどうやら本気らしい。
軽く答えたアドバイスにも、深く思考し、自分なりの答えを見つけて翌朝には答えを出してくる。
みるみるうちに上達するカメラの腕前。
聞いてみたことがある。サッカーにはいつ戻るんだ？ と。
そしたら、怪訝な顔で返された。
「何言ってんだ、戻らねえよ」
「え？ 君、サッカー選手になるんじゃないのか？」
「いや、サッカーは中学までって決めてた」
分からねえのかよ。Aがカメラを向けながら純粋無垢な言葉を紡ぐ。
「あたしはあの日、あんたのカメラに惚れたんだ。これがやりたいんだって本気で思った」
「……」
「ま、後からだけどな」
パシャリ。ニヤリと笑って見せられた写真には、顔を赤らめて動揺を隠せずにいる、青野の顔が写されていた。
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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