運命247＃ 目隠し ページ32
.
あれから一週間。最終的には神に祈りながら挑んだテストを乗り越え再開した部活動も終えると、緊張から放たれたAは泥のように眠ってしまって、起きた時にはもう翌朝だった。
全身の血が心臓になってしまったのかと思うほど脈打っているのに、背中や指先が妙に冷たくて、生きた心地がしない。
「では、今からテストを返します」
阿鼻叫喚。目の前でテストを受け取った男子が「オーウ、ノー！」と叫んで膝から崩れ落ちるのを見てクラスで笑いが起きるがAの緊張はピークに達した。
震える手で解答用紙を受け取り、見るのも怖いのでそのまま席に戻って、恐る恐る目をぐっと細めて解答用紙右上を見る。
「──……」
.
「……？」
鬼道が帰ってきたのに、袴田の出迎えがなくて違和感。
どれほど忙しくても、そんな失態を犯す家令ではないのに。
まあ、鬼道自身は彼がいないと一人でスリッパも取り出せないような昔の貴族様とは違うので、全く問題はないが。
と、その瞬間。
「っ！？」
目の前が突然暗闇に包まれて、鬼道はビクリと硬直した。その間に鬼道のゴーグルを覆った白布が後ろで結ばれる。
人が居たのか。まったく気がつかなかったが、もしや泥棒──と思いかけたところで、鬼道の手首を掴む一回り小さな手に、気が抜けそうになる。
そのまま引っ張ってずんずんと進む彼女。前が見えておらず早く歩くのは怖い鬼道にお構いなしの速度で右に左に。そして、ガチャリと扉が開く音がして、部屋の中に押し込まれた。
なるほど、袴田もグルか……と呑気に考えていると、布が解かれる。が、彼女の顔を見るより速く、何やら紙が突きつけられて視界いっぱいに広がった。
「おい、何……」
受け取って顔から引き剥がし、改めて見て、目を見開く。
「……今日、返ってきたんだ。昨日までのテスト」
一枚ずつ捲りながら、全て見る。
全教科七十点を超えている。実際には苦手な数学がギリギリ七十八点なだけで、他は八十点以上。
英語に至っては初めての百点満点と、学年一位の成績だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
