運命242＃ どうしたら ページ27
.
「で、どうする？ 今日もうちで勉強会するか」
「でも、連日だと風丸んちに悪いだろ？」
「気にするな」
風丸は、隣を歩く円堂に笑いかけた。
「こんなところで赤点とって補習なんてことになれば、この大事な時期に雷門高校サッカー部の士気が下がる。そうなるより全然いいさ」
「うっ……ど、努力するよ……」
雷門高校サッカー部のキャプテンには、あのFFI優勝チームのそれだったこともあり、一年ながらにして円堂が選ばれた。
中学と同じく、テスト週間が終わればすぐに春の大会がやってくる。まだ馴染みきらないチームのためにも、念入りに調整をかけておきたかった。
「……あれ？ あそこにいるのって」
「え？」
風丸たちの前を、とぼとぼと歩く後ろ姿。
赤い髪を黄色のうさ耳リボンでひとつに結んでいて、雷門の制服に身を包んでいる。
「Aじゃないか」
「どうしたんだろ。帰り道なら、雷門高校より向こうにある帝国学園からか？」
「鬼道か。でもあいつは……」
「おーい、Aー！」
二人で想像を巡らせたって分かるわけもないし、第一肩を落としている様子の後輩を放っておけない。
駆け足になって彼女に追いつき、その肩に触れた。
「こんなところで、どうしたんだ？」
「鬼道なら、お前と勉強するから早く──」
思わず息を飲む。目元には酷い隈ができていて、とにかく疲れた顔をしていたからだ。
「……円堂……かぜ、まる……」
「な、何があったんだよ！？」
振り返ったAが二人の慌てた顔を認めた瞬間、徐々に瞳に光が宿り、やがてそれが大粒の水滴へと変貌する。
「え！？」
「あたしもう、どうしたらいいのかわっかんねぇよ……！」
下校中のクラスメイトがいる前でボロボロと泣き出してしまったA。
状況は把握できないが、とりあえず泣き止ませて落ち着かせなければ、サッカー部の危機である。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
