運命241＃ 無言 ページ26
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モヤモヤとしていた霧のようなものが晴れ渡る感覚。鬼道と出かけることはたまにあったが、同性と遊ぶ頻度はそう高くない。
そのうえ、ここ一年より前には遊びに行く同級生なんているはずもなかった。
初めて行ったカラオケや、撮ったプリクラなんかで盛り上がり、何が面白いか分からないことで大爆笑する。Aにとって刺激的で、とても楽しいひとときだった。
「お帰りなさいませ、A様」
「出迎えありがとう、袴田さん。有人は？」
「自室においでです」
靴を脱ぎながら「そっかー」と返す。
袴田が出迎えなんて珍しい。執事である彼は基本鬼道のそばか、使用人の控え室にいるので、Aが帰る時のそれは大抵メイドの誰かだった。
手を洗って、服を着替える。下ろしていた髪を結び直して、机の上に教科書やワークやノートを広げた。
そこまで済ませてから、鬼道に会いに部屋を出る。ドアを開ける時に見た時計は午後六時を回っていた。夕食はもうすぐだが、少しでも鬼道と勉強がしたい。心がすっきりしている今なら、集中できそうだ。
三回ノックをする。少し重い木の音が中に向かって響いた。しかし、返事がない。「有人ー？」と呼びかけてみるが、やはりない。
「？ ……入るぞ、ぅおっ！？」
「……」
ドアノブに手をかけた瞬間に扉が開いて、Aはつんのめりかけた。鬼道が黙ってこちらを見下ろしている。
「なんだ、いるなら返事しろよ」
「勉強はどうした」
「だから、今からやろうと呼びに」
「テスト前はすぐに帰ってくる約束だっただろ」
ビクリと肩を震わす。鬼道の語気が強い。いや、冷たい。
「……怒ってんのかよ。悪かったって、連絡しただろ？ 今からちゃんとやるから」
「いや。もういい」
「は？」
「お前が俺と同じ高校に進みたいと言ってくれて嬉しかった。だが、本気にしていたのは俺だけだったようだな」
「ちが、待てよっ」
扉が閉まりかけ、慌てて手で押さえる。
「ならもういい、好きにしろ」
「待てって！ あたしはっ」
呆れた顔で小言を垂れてくれると思っていた。そして、「仕方ないな」と言いつつ、勉強を見てくれると思っていた。
なのに鬼道は、Aの手をじっと見つめるばかり。
「……有人？」
「……」
「なぁ有人、有人っ？」
赤い瞳に射すくめられて、強ばった手が自然とドアから離れる。
そのまま扉は閉められた。パタン、と、乾いた音を廊下に響かせながら。
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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