運命218＃ 裏切られた ページ3
.
雷門と漫遊寺の力は拮抗していた。
それは雷門が来年度のために、レギュラーメンバーに現二年生を多く起用していることもあるかも知れないが、ひとまず、漫遊寺は強い。
鬼道は唸る。
まず「個」が強い。格闘技に起因しているのか、ゾーンプレスで攻めてくる割に連携より一人一人のボールさばきが目に留まる。
裏を返せば、オフ・ザ・ボールの動きに対応していき守りから入ることで、パスミスを誘導しカウンターの場を作れるかも知れない。
.
「虎丸」
「ん？」
「有人がさ、あたしたちのために動いてくれてるのが分かるんだ」
宇都宮はAを見た。彼女は静かにグラウンドを、仲間たちを見つめている。
「染岡だって、豪炎寺だって、本当は自分が打ちに行きたいはずなのに、あたしたちのためにチャンスを作ってくれてる」
「……うん」
その瞳が宇都宮のほうを向いた。真剣なまま、しかしその口元にニッと笑みが浮かぶ。
「やんなきゃな」
「ああ。先輩たちに安心してもらうためにも」
「おう。今日は、あたしたちが主役になる！」
コツン。拳をぶつけた。
「行くぜ、虎丸！」
「行こう、A！」
.
俺はずっと小さい頃、母親に捨てられた。
旅行に行こうと誘われて着いて行ったんだ。駅で弁当を買ってくるから番をしててくれって言われてさ。
でもあいつ、帰って来なかった。
それから、もう二度と人を信じないって決めたんだ。信じてもロクなことがない。そう分かったから。
大好きな人に裏切られる。そんな気持ちはもうたくさんだ。
.
「ボサッとしてんじゃねぇぞ、木暮！！」
「っ！？」
肩を跳ねさせるのと同時に眉間に皺が寄る。
またあいつだ。あの赤い髪を一つに括ったやかましい女。
そいつがまたビシッと、俺を指差す。
「目ん玉かっぽじってよく見てな！！ あたしたちが今から、お前の見た事のねぇような必殺技で点を決めてやるぜ！！」
「……な、なんなんだよあいつ……！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
