運命234＃ それが何たるかは知らないが ページ19
.
季節は変わり、冬から春へ。円堂達三年生が涙ながらの卒業を迎え、サッカー部も新体制を整えた。
四月になるとクラス替えが起こり、仲の良かった友人達や虎丸と離れてしまうことにはなったが、体育祭の一件などもあり、Aは順風満帆な中学二年生生活を送っていた。
そんなある日のことである。
「ごうこん？」
新しくできた友人が、少し声をひそめて「そんな大したものじゃないけどね」とウインクしてみせる。
話を聞いてみれば、高校生の姉が数合わせに彼女を誘ったらしい。
「お姉女子校だから、他校の男子と話したいんだってさ」
「で、合コンってなんだよ？」
「だーから、そんな大したものじゃないの！ ファミレスで高校生の人とご飯食べるだけ」
中学生にしてはおませな話だが、合コンが何たるかを知らないAは──クラスメイトとて単に男の子との出会いの場としか思ってないだろうが──二つ返事で了承した。
一年生のときはどちらかといえば男子とつるんでいたAが、二年生になってようやくできた「同性のいつメン」である。
下手に断って関係を悪くしたくはなかった。
「おっけ、A参加するってお姉にイナリンクしとく〜」
「なあ、それって有人も連れてっていい？」
所持禁止のはずのスマホを廊下に背を向けながら操作していた友人の手からスマホが落ちかけて、Aは慌てて掴む。
「あ〜〜……そっか、そういえばA……」
「わ、わり、なんか変なこと言ったか？」
眉根を寄せてぶつぶつ呟き始めてしまった彼女にAは焦る。が、彼女は俯いていた瞳を上げ、ポンとAの肩を叩いた。
「いい？ A。鬼道さんに合コンのこと、言っちゃダメ。内緒、ね？」
「お、おう……分かった」
彼女の微妙な表情は気になったが、初めてのクラスメイトとのお出かけに気分が舞い上がってしまって、それもすっかり頭から飛んでいってしまった。
.
「そうか。いいんじゃないか？」
週末、クラスの友達と遊びに行くと話したら、鬼道は微笑んでくれた。
高校生になり、どこか雰囲気がまた変わってきた気がする。心做しか背も伸びて、中学の頃はまだ随所に見られた幼さが抜けていってるように見えた。高等部の帝国の制服もよく馴染んでいる。
平日の昼間に会えない分、休日にはできるだけ鬼道と話したかったが、仕方ない。
「友人が出来たようで良かった。羽目を外しすぎないようにな」
「おう！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
