運命232＃ 足枷にはなりたくない ページ17
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そういえば、距離感を知らないやつだった。
鬼道はAの肩を抱き寄せ、ぐっと顔を近づけた。額が触れ合わんばかりの距離。目を見開いたAの顔が、林檎のように赤くなる。
「……この距離で、俺が女と話していたらどうだ」
「！」
ささっと後ずさり、両腕で顔をガードするA。
その腕を掴んでやると、びくんと跳ねて、そろそろと下ろす。
眉の下がった上目遣いが顔を出した。
「……やだ……」
「……あ、ああ……」
色々言うつもりでいたものが、全て頭からなくなってしまった。
ピッチの絶対的指導者、冷酷な天才ゲームメイカー鬼道有人のほうがどちらかといえばゾッコンなのだと知ったら、クラスメイトたちはどのような反応をするのだろう。
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せっかくの休日だというのに、鬼道の表情は朝から固かった。どうしてかと聞いても「気にするな」の一点張りで、あまりAに構うこともなく自室に入っていってしまう。
励まそうにも理由を知らなきゃ何もできない。
確かに今日は、昼には数日ぶりに鬼道の父が帰ってくる日だ。しかし、別に養子だからといって二人の間に確執がないことくらい、出会って数ヶ月のAにも分かる。
そしてその理由は、鬼道の父が帰ってきて、鬼道がまっすぐに書斎に向かったときに分かった。
「……模試の成績が、少し落ちたな」
「……はい、すみません」
「授業の質は、確かに帝国より多少落ちる。だが、生徒の自主性を重んじる雷門にいて、お前の成績は落ちるどころか伸びていたはずだ。どうしたんだ？」
「……」
父の言葉に以前のような責め立てる気迫はない。単純に息子を心配しての言葉だ。それにも答えず、鬼道はただ口を噤んでいた。
「……無理に話せとは言わないが、後悔のないようにするんだぞ」
「はい。失礼します」
部屋を出たところで目を見開く。ドアのすぐ側に、Aが立っていた。
盗み聞きをするなと言ってやろうとしたのに、顔を上げたAの顔が泣き出しそうで、更に驚く。
「あたしのせいか？」
「何？」
「あたしに勉強教えてたから、鬼道は勉強できなかったのか！？」
「……いや」
「……もう、あたしの勉強見るな」
鬼道の服の裾を引っ張って、Aが必死に話す。
「有人の受験まで、もうあたしの勉強見たりするなっ」
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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