運命227＃ カントリーロード ページ12
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Aはひとり、漫遊寺中学を散策していた。クールダウンの延長目的もあったが、何よりお寺のような外観が自然と心を落ち着かせてくれる気がして、久しぶりに独りぼっちになってみたかったのだ。
ここ数ヶ月で、周りの環境が随分と変わった。たった一人で仕事をし、盗みをはたらいて食い繋いでいたあの頃の自分が見たら夢だと思って笑うだろう。
……いや、あの頃だって自分はひとりじゃなかった。家に帰れば凌と朝が待っていたし、多くの依頼人と会ったし、飛鷹や金次さんのような仲間もいた。それに比べて──……。
「……長いこと、待たせちまったな」
脳裏に浮かぶのは、空港で別れたユリカたちの笑顔。
産まれたときから心を無理矢理閉ざされて十数年。その小さな胸が痛いほど訴えていた感情が寂しさや苦しさだと気づかないまま、大きくなってしまった。
もっと早く助けてやれれば……やめた。たらればなんて好きじゃない。
にしても、いつもは別にこんなこと考えたりしない。サッカーのことか友達のことか鬼道のことで頭がいっぱいで、考える余裕がない。
修行だの、自分を見つめるだの、邪念がうんぬんだのと影田が言っていたが、本当にこの場所にはそんな力があるのかもしれない。
──パシャリ。
「……誰だ」
それまで人の気配はしなかったのに、奇妙な音がしたとたん、その場に現れた。
眉根を寄せて振り返る。見れば、ラフな格好をした若い男がカメラのファインダーからこちらを覗いていた。
「撮影料とるぜ」
「ごめん、ごめん。あまりにいい被写体だったから、ついね」
「盗撮はいけねえんじゃねえの？」
「悪かったよ。データは消すさ。君、蓮水A選手だよね」
男は雑誌「サッカーマガジン」のカメラマンだと名乗った。
強豪なのにフットボールフロンティアにも出場しない漫遊寺中をずっと記事にしたいと思っていたらしい。そのため今回は雷門中の試合を取材するという名目でくっついてきて、念願の漫遊寺を堂々と撮影していたのだそうだ。
「ところが、外観はともかく選手も生徒も写真に入ってくれる子がいなくてね。困っていたんだけど」
「……」
なんでそこで黙ってあたしを見た？
なんでにっこり笑った？
なんで漫遊寺の制服なんて持ってやがる？
「顔は出さないからさ。頼めるかな？」
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棗(プロフ) - 絶対読みます‼️✨️✨ (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 棗さん» 棗さん！ 拙作のお気に入り登録通知にいつも元気をもらっています。お読み頂きありがとうございました。次回作ができあがりましたらぜひまた読んでいただけると嬉しいです…！ (2023年4月9日 13時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 鬼道有人大好きなんで見るのがすごく楽しみでした‼️これからも読ませて頂きますm(*_ _)m (2023年4月9日 13時) (レス) @page48 id: 20492549c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» そうです最終章…の予定…です〜！！ そう、私も凄いあっという間だった気がする……。わ〜！ ほのぼの目指してたのでそう伝わってて大変嬉しいです❤️ 頑張るね、ありがとう！！ (2022年3月11日 12時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - fin…fin！？終わり！？そっか、夙夜夢寐もここまで来たんだね。なんか早い気がする(天空の巫女読み返してるからかな)前作は恋愛要素が多くて、読んでてほっこり？ほんわか？なんて言うんだ？そんな気分になりました。最後まで頑張ってね！ (2022年3月11日 9時) (レス) @page1 id: 0165dfb280 (このIDを非表示/違反報告)
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