秋30＃ 理由と無限 ページ32
.
「お兄ちゃん、凄い……！」
「はい」
音無が思わず目を輝かせると、Aは鬼道を見つめたまま、少しだけ目元を和らげた。
「本当に凄いお方です。あなた様のお兄様は」
「……！」
音無が目を見開いてその横顔を見つめる。
その途端フィールドで悲鳴が上がった。千羽山の必殺技に、松野空助が吹き飛ばされたのだ。
奪われたボールはすぐに鬼道がディフェンスに入って奪い返し、前を走っていた染岡に送る。染岡と豪炎寺の必殺シュートは「無限の壁」の前に破れた。
「……」
……ここは、鬼道にとって負担が大きい。Aにはそう見えた。
司令塔として指揮するだけでなく、ディフェンスと中盤全域をカバーし、オフェンスの起点を担い、更にセンタリングまで。
雷門には豪炎寺や円堂のような優れたプレイヤーがいることはAも承知している。他の選手も一度目の対戦から飛躍的に伸びた。それは彼ら自身の努力によるもので、実際とてつもない成長速度だ。それを、正当に評価してもいる。
しかしそれでも荒い部分が目立つのだ。
よく言えば伸びしろがある。けれどそれは、試合までに……大会までに、伸ばし切らなければならない部分。少なくとも、帝国は大会以前より万全な準備をしてきた。
僅かなパスの乱れもない。鬼道の指示を瞬時に理解しうごくことができる。けれど雷門は……。
「──、──！」
「──」
後半の戦術について言い争う鬼道と半田を見つめる。
……Aには分からなかった。なぜあの日帝国が負けたのか。総合的に選手の能力を比較しても、統率のきっちり取れた帝国のほうが──……。
「……」
もう、終わったことだ。Aは考えていたことを振り払い、目の前の試合に集中することにした。
後半は、鬼道のゲームメイク通りにフォーメーションを変えることになった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杳覇(プロフ) - に近い感じかな……？ 私の作品の中ではかなり短くまとまると思うんで、暇なときに覗いてくれると嬉しいです！ 更新がんばるね〜〜！！ (2021年10月8日 12時) (
レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» 初見朧ありがとう〜〜！！ バチくそに頭良い子なので私に書き切れるかどうかは賭けです🙂 選手に指示を出してゲームを組み立てていく司令塔よりはマネジメントに近い役割だけど、そういう認識でも大丈夫です！ フィールドメイキングするスタッフ (2021年10月8日 12時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - あっどちらかと言うと日常の練習での司令塔という感じっぽいね(↓設定までしか読んでなかった) (2021年10月8日 11時) (レス) @page6 id: 2897e279c0 (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 遅れました！！わー作ってから一週間経ってるー(棒読み)頭良さげな子だね！(語彙力はテストで溶けました)選手じゃないっぽい？司令塔の補佐みたいな感じかな？楽しみにしてるね！頑張って！！ (2021年10月8日 11時) (レス) @page2 id: 2897e279c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 白雪林檎さん» コメントありがとうございます✨ わ〜〜昔から読んで下さってるんですね！ めっちゃ嬉しいです…！！ ありがとうございます☺️💓 お褒めのお言葉も光栄です✨ 更新頑張ります！！ (2021年10月7日 6時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
