運命203＃ 追う者 ページ35
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Aはくるっと振り返りながらブレーキをかける。対面で突っ込むのは得策ではないと、鬼道も止まった。
「かかって来いよ、有人！」
「何？」
Aを捕まえようと腕を伸ばせば逆方向に逃げられるのは分かっている。しかし距離は縮まるはずだ。こいつの真意は……？
「……来ねぇってんならこっちからいくぜっ」
「！」
Aがまっすぐ鬼道に向かってくる。これは。しかしあの技は……。
「トロイメライ！！」
馬鹿な。トロイメライは、ボールが無ければ通用しない。
トロイメライをかけられてボールを奪うことが不可能でも、その体に触れることくらいなら誰だってできる。
なぜそっちに頭が回らない──鬼道は眉間に皺を寄せながら、自分の横をすり抜けようとしたAに腕を伸ばす。
「──なぁんてな」
その影がニヤリと微笑み、上に舞った。
目を見開く。鬼道を飛び越えたAが、振り返って笑った。
「バーカ！！ ボールも無しにトロイメライなんか使えるかよへへーんだ！」
「……あいつッ……！」
鬼道は頬をひくつかせながら再び駆け出す。距離を詰めるつもりが、だいぶ離されてしまった。
こんな時なのに彼女を家に連れ込んだ日のことを思い出す。鬼道にスリを働いた彼女を追って、彼女の人生に踏み込んだ。
「……死んでも捕まえてやるっ！！」
「やってみろよ！ 今度はあの日みたいにはいかないぜ！！」
時間は刻一刻と迫ってきた。
一年生のほうがすぐに捕まるだろうと思っていた二年生や三年生も、足を緩めない二人の様子に段々と引き込まれていく。
気づけば教師たちも総動員で、応援に声を張り上げていた。
「残り一分！！」
二人の呼吸が重なる。体力も無くなってきて、脚は長距離を走る筋力にシフトしていた。朝と晩、欠かさず走ってきた二十キロ。いつしか息のタイミングまで、ピタリと合うようになってきた。
鬼道がぐっと拳を握る。あの日捕まえた蜃気楼。逃がす気など、最初から無かった。
気がつけばAはすぐ目の前で。
ハッとして振り返った彼女の瞳が見開かれるのと同時に、彼女に触れた。
「うあっ……！」
バランスを崩しかけた彼女の腕を引くが間に合わず、尻もちをつくAの上に覆い被さる。
どちらのものか分からない汗が地面にパタパタと垂れた。
「……お前が俺から逃げられると、本気で思っていたのか？」
「ハァ、ハァ……っくそ……」
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» 初見朧ありがとう！！！ ああああ感動してくれた！？ うっ、嬉しい……！！ 頑張ります！ ありがとね！！ (2021年8月13日 11時) (
レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 白目黒口さん» しろくろありがとうーー！！ ひえ嬉しいです\(//Д//)/ 毎秒更新ww できるだけいっぱい頑張ります！！ (2021年8月13日 11時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 続編！！！待ってました！！！前章の最後の蓮水ちゃんとユリカちゃんのところでうわあああああ(語彙力)ってなりましためっちゃ面白い。更新頑張ってね！応援してます！ (2021年8月13日 11時) (レス) id: 2aa92eadb7 (このIDを非表示/違反報告)
白目黒口(プロフ) - ああああ続編ッ！おめでとう(=´∀｀) 出だしから最高です！！ 無茶しない程度で毎秒更新()頑張ってください！ (2021年8月13日 10時) (レス) id: c29c1a0e83 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» さすあお！！ ありがとう！！ そうですね、イチャイチャさせますよとことん(( むしろここからもまだ本番感もあるというか、れんの成長に関わる部分になってくるので、気長にお付き合い頂ければなと思います！！ がんばるねー！！ (2021年8月13日 10時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2021年8月13日 10時
